うつ病と家族とコミュニケーション

臨床心理士の鈴木です。

うつ病になると、うつ病本人の治療が必要です。
当然のことですね。

うつ病になった「本人の中」に「うつ病」というものがあり、それを治療するべきとなります。

しかし、うつ病は本人だけの問題だけではない場合が多いものです。

例えば専業主婦の女性がうつ病になったとします。

だんだん意欲の低下、不眠などが現れ、夕食のメニューを決めることができなくなるなど、家事全般に影響を及ぼします。

それを見た夫は心配し、「趣味でも始めたら?」「こんな風に考えたら?」「雑誌についてた~法をやってみたら?」など、様々な提案をします。
うつ病について調べると、お薬を飲んで、休養させると書いてあるのでその通りにしてみたり。

しかし、なかなか良くならない。

夫が解決方法を提案しても「・・・でも、できない」「そんな風に考えられない」「そんな方法はストレスになる」と、妻は言う。
そうすると「治る気持ちがない、なまけているだけ」「気持ちが弱い」「親の育て方が悪いんだ」「せっかく提案してるのに・・・やる気の問題だ」と夫は感じ、イライラしていきます。

妻はそんな夫を見て「わかってもらえない」と、さらに落ちこんでいき、そうするとさらに夫がイライラ・・・という悪循環。

このように、うつ病は周囲にも大きく影響を及ぼし、関係の悪化→症状の悪化→関係の悪化→・・・を繰り返していきます。

本人が悪い、周囲が悪い、と言っているわけではありません。
上記の例では、うつ病の妻は元気を出そうとしても出せないのです。
こんな時は苦しい思いを聴いてほしいだけのことが多いものです。
夫は自分なりに解決案を提案するなど努力しているものの、どう接してよいかわからない状態になっています。
ただ話を聴いてほしい、受け入れてほしい妻と、妻のために解決案を提案しようとする夫との間にコミュニケーションのズレがあり、かみ合っていないのです。

特に対処方法を勉強している家族ほど「その通りにならない」「頭ではわかっているけどイライラする」「いつまでこの状態でいるんだろう」と、教科書通りにならないと不安になることもあります。

このため本人だけでなく、家族もうつ病に対する知識や対処方法を学ぶと、治療がスムーズになることが多いと思います。
お互いのコミュニケーション方法を変えていくことは大事です。
私は可能ならば家族がきて下さるよう頼むこともあります。

うつ病である本人への直接的な治療も大事ですが、ご家族や親しい人とのコミュニケーションが上手くいくと、うつはぐっと楽になりますよ。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


治りにくいパニック障害への対処特徴

臨床心理士の鈴木です。

パニック障害でなかなか治りにくい方がやっている対処特徴についてのお話です。
私の主観がかなりはいってはいますが・・・。

・気をそらそうと必死になっている人
・ガムやフリスク、アメを口に入れて不安場面に行っている人
・不安を振り払うのことばかり考えている人
・電車に乗るのが怖い人が「怖くなったら途中の駅で電車を降りればよい」と考えて、乗る人
・安定剤がお守り代わりになってる人

特に上記の例では自分で不安を克服しようとして、失敗している方によくあります。
不安への対処ばかり考えているため、逆に不安にとらわれているのです。
また中途半端な認知行動療法を受けている人にもよく見られます。

こんな例も長引くパターンです
・歪んだ親子関係が原因だと考えている人
・ストレスが原因と考えて、ストレスがかからないように様々な場面を回避している人
・歪んだ考え(マイナス思考)が治らないうちは、不安場面にいけないと思っている人

「本当の原因」探しをすると、誰かを悪者にすることにしかならないので、うまくいきません。
まして親子関係がパニック障害の原因という根拠はありません。
「本当の原因」探しをしなくても、治療はできます。
また「歪んだ考え」ばかりに焦点をあてるような「認知行動療法」を受けている人にもよくあります。

パニック障害でお悩みの方、治療中の方、当てはまっていませんか?

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食欲のコントロール

臨床心理士の鈴木です。

わかりにくいと思いますが、先日行った焼肉屋さんの画像です。

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さいたま市内にあるこの焼肉屋さん。
非常においしい。
高級焼肉屋さんでおいしいのは当たり前ですが、手ごろな値段でこれくらいの味のお肉をだすところはそれほど多くはありません。

ついつい食べすぎてしまいました。
これは4月の健康診断気をつけなければ・・・。

ところで過食症もダイエットも食生活全般にそうですが、食べ物をコントロールしようとしてもほとんどうまくいきません。

「過食をしないようにする」
「バランスの良い食事をする」

こんなことは、頭ではわかっているものです。
知識だけあっても、ほとんどの人は継続が難しいでしょう。
継続しないと専門家から「やる気がない」「心が弱い」とレッテルを貼られることもあります。
そのような相談機関には行かないほうが良いでしょう。
実際のところは、食事以外のところからコントロールして行くことが重要だったりするのです。

厚生労働省からはメタボ対策などで「特定保健指導」なんてものも出されています。

これまでの健康指導は「教えること」が中心でした。
しかし、それが知識としてあったとしても、実施され継続されなければ意味がありません。
ここのところが、これまでの健康教育で不備のあるところでした。
つまり「教えっぱなし」。

こんなことから「どうしたら継続できるか」「意欲がでるか」ということが重要視されてきました。
そこで役に立つのが実は行動療法です。

実際に厚生労働省が出しているプログラムにも行動療法を取り入れることが提示されています。
しかし、このブログでも以前書いたように、日本ではカウンセラーでさえ行動療法を学ぶ機会は少ないのが現状です。
ましてや主に健康指導をしている保健師、栄養士の方なんかは、行動療法を学ぶ機会は皆無に近いのでは。
ということは、国をあげてなんとかしようとしている標準的なプログラムが提供できていないはずです。
知り合いの保健師何人かにきいても「行動療法?知らない。効くの?」と懐疑的なことを言われることも多いです。

それでも行動療法の勉強会に行くと、行動療法技術を学ぼうとする、看護師さんや保健師、栄養士さんも見受けられるようになってきました。
これからは健康指導する専門家の腕の差が広がっていくんじゃないかと思います。

ちなみに私のカウンセリングでも過食嘔吐など、食事コントロールについての治療もしております。

過食症、うつと不安のカウンセリングご希望の方は
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マイナス思考はダメか?

臨床心理士の鈴木です。

嫌なことを忘れたい、と思ったことはありませんか?

過去の出来事、将来への不安、強迫的な考え、過度の心配、寂しさ、無力感、死にたい、消えたい、などなど。

これらの考えを「マイナス思考」として、それを考えなくなることを「治る」と考えている方が多いようです。

おそらく、「マイナス思考がなくなる」「不安を感じたり、消えたいと思うことがなくなる」ということを目標にしてしまうと、治らないでしょう。

考えてしまうことがなくなることはないからです。
これを聞くと「ずっとなくならないのか」と絶望感を感じる方がいるかもしれません。

しかし、「マイナス思考」という言葉に囚われなくなったり、充実した人生を歩めるようになることはあります。
つまりマイナス思考がある=充実した人生を歩めない、わけではないのです。
なかなか良くならない方は、この「考えが浮かんでいるうちは治っていない」と思いがちです。

このように考えると、自分のやること、家族が本人に対する方針が変わってきます。

悩んでいる方は「こんなこと考えてちゃ駄目だ」「プラス思考になれなくてはいけない」と、考えと闘ったり、葛藤する必要性はないかもしれません。
家族や周囲は「考えすぎだ」「そんなこと忘れなさい」「もっと楽しいこと考えなさい」という言葉は、無効なばかりか本人を追い詰めてしまうことが多いことを認識しなくてはいけません。
このブログでも何度も書いたように、考えないようにしようという試みは、もっと考えてしまうという結果となります。

「考えてしまうことはしょうがない」というスタンスに変えてみると、少しずつ変化することもありますよ。

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うつ病の新しい認知行動療法について

臨床心理士の鈴木です。

認知行動療法はカウンセリング方法としてはグローバルスタンダードとなっている方法です。

アメリカやイギリスなどの医療先進国では保険会社や政府などで認知行動療法を推奨しています。

アメリカの保険会社が効果が実証されているカウンセリング方法を勧めるのは当たり前ですよね。
効果に乏しいカウンセリングをしているところにお金を払いたくないわけですから。

イギリスでも政府が認知行動療法を勧めていたりします。
怪しげなカウンセリングを政府は勧めないでしょう。

日本ではどうでしょう。
全く野放し状態であるかのような印象です。
私が医療・福祉の専門職の方に認知行動療法についての勉強会の講師をしに行くと、ほとんどの方から「認知行動療法なんて聞いたことがない」と言われます。
もしくは「表面だけ変えて役に立たない」と、臨床心理士から吹き込まれていることもあります。
だいたいは、その臨床心理士の勉強不足や偏見によるものです。
つまり、日本では医療・福祉の専門家でさえ、うつ病や不安障害の世界的標準となっている方法を知る機会がない状態なのです。

最近では「第3世代の認知行動療法」という新しい認知行動療法が出てきています。
書籍などでよくでているのは多くは「第2世代の認知行動療法」です。
認知行動療法をしている機関でも第2世代の認知行動療法を実施しているところがほとんどです。

私は現在「第3世代の認知行動療法」を中心にカウンセリングを行っています。
「他で認知行動療法を受けたけど、うまくいかなかった」という方も、一度ご相談ください。
新しい角度からから「認知行動療法」を提供できるかと思います。

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過食症に効果のあるカウンセリング

臨床心理士の鈴木です。

最近になり、過食症で悩まれている方が増えてきました。
だいたいは10代~30代の女性です。

相談に来た方にこれまでどんな治療を受けてきたかをうかがうと、ほとんど治療的根拠のない理屈を教えられていることがほとんどです。

さらに認知行動療法や対人関係療法に対して
「表面上だけ変わるだけだからすぐに再発するし、治らない。根本的なことを治さなければならない」
「さらに悪化する」
と、医師やカウンセラーからも言われていることがあるようです。

そのようなことを言う医師やカウンセラーは、専門家として明らかに勉強不足であると言えるでしょう。
認知行動療法や対人関係療法を受けることによって「悪化する」という根拠はありませんし、「再発率が高い」という根拠もありません。
逆に過食症だけでなく、様々な分野で治療的効果が示されており、再発率を低くするというデータが出ています。

ただ、一般の方からすれば相談している医師やカウンセラーに言われれば、「そうかな」と思ってしまうでしょう。
そして、回復が遅れてしまいます。
適切な治療を受けるためには、患者さんが効果が示されている治療法について知識を持ち、そのような治療者を選ぶことが必要となってきます。
日本では医療機関に行けば、現時点で有効とされている方法が受けられるとは限らないのです。

このようなことが重なっているため、きちんと世界的に治療的効果が認められている方法を知ってもらおうと、過食症についてもカウンセリングを実施していることを大々的にアピールすることにしました。
詳しくは、浦和すずのきクリニックのホームページにある「過食症のカウンセリング」をご覧ください。

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過呼吸への対応

臨床心理士の鈴木です。

息苦しさ、過呼吸、目まい、動機などが突然起こると、その症状を恐れて外出したり、乗り物にできなくなってしまうことがあります。

パニック障害などと言われます。

息苦しさ、過呼吸なんかは代表的な症状ですが、過呼吸がおこると薬を飲んだり袋を口にあてる方法をとっている方が多いのには驚きました。

それを専門家に言われている場合もあるようです。
これはまた専門家の間でも正しい知識が知れ渡っていないのは残念と思う瞬間です。

そんなことをしなくても、息苦しさ、過呼吸への対応方法はあります。
その方法を知らずに、袋を口にあてることをし続けてたり、過呼吸を恐れ生活範囲が狭まっている方が多いようです。

私のところに来ていて、カウンセリングを継続しているパニック障害の患者さんの8~9割は5~10回のカウンセリング(認知行動療法)で、生活に支障のないレベルまでなっています。

あなたはどれくらいの期間パニックに悩まされていますか?
あなたの受けている「治療」はどれくらいの期間かかっていますか?

カウンセリングは自費診療ですが、お薬を何年も続けて飲むよりもずっと経済的です(過去の親子関係などをずっと聞いているようなカウンセリングでは逆ですが。私はやりません)。
もちろんお薬が必要な方もいますが、併用することで回復が早くなりますし、具体的な対処方法がわかるのでお薬もやめやすくなるかと思います。

このブログをみているパニック障害の方がいましたら、早めに来ていただくと、早く生活が楽になりますよ。
遠方の方はお近くで認知行動療法している機関を探してみてください。

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依存と自立③―家族の視点から

臨床心理士の鈴木です。

依存と自立については家族からの視点も重要です。

「あなた方親子は共依存だから、自立しましょう」というカウンセラーが実はたくさんいます。

以前にも書いたようにこのような問題には「共依存」という言葉を使う、治療に対しては根拠の乏しい「治療法」が盛ん行われています。

非常に残念なことです。

一生懸命本人のために何とかしてあげようとして勉強している家族ほど、根拠の乏しい理屈にのめりこみ、結果全く解決しないという例をいくつもみてきました。

例えば心の病を持っている人に、その家族が「依存が原因だから、自立しなさい」と言っても、見捨てられ感が強まり、症状の悪化を招くことが多いと思います。

だいたいの症状は「依存」なんて扱わなくても十分に軽快します。
心の病気の症状の治療と「依存」を扱うことは別なのです(アルコール依存などは除きますが)。

「色んな治療法があるけれど、どの情報を信じたら良いのか」と思ったら、その治療法にエビデンス(科学的根拠)があるか、インターネットなどで調べてみましょう。

それに自立させたい時は、無理やり離れようとすることが唯一の方法ではありません。
説得し「正論」を本人に押し付けようとすればするほど、「自立」は遠のいていくことが多いでしょう。

「依存が問題」と思っている家族の方は、その考えから離れると解決策が見えてくるかもしれませんよ。

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依存と自立②―「自立している」と言われる場合

臨床心理士の鈴木です。

引き続き、前回とは逆のパターン。

想像してみてください。
30代の女性、仕事は優秀、経済的に自立して、比較的裕福、趣味を満喫し、周囲から「自立した女性」「強い人」と思われている。

周囲からは見たら「自立」し「問題がない」「孤独にも耐えられる」と思われがちです。

実際のところは「自立している」と周囲から見られていても、内心では孤独感や抑うつ感など悩まされているものです。
そのような人ほど周囲のイメージと本当の自分のイメージにギャップがあります。
職場では物事をはっきり言ったり、論理的に考える人なんかは特に、弱音を周囲に話せず、苦しんでいたりします。
つまり、「強い自分」を演じているために「弱い自分」を見せられないと考えてしまうのです。
こうなると、等身大の自分を認められずに、受診が遅れ、治療に時間がかかることもあります。

「一人で生きていこう」と思っても人間は孤独には耐えられないものです。
「強くならなきゃいけない」と考えても自分をさらに苦しめるだけです。
人間は人と人との繋がりがなくては生きてはいけません。
それほど人間は社会的な生物なのです。

このため単に「依存は悪い。自立が大事だ」ということでは、うまくいかないことも多いでしょう。
むしろ、そのような考えや言動が逆効果になっています。

次回に続く。

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依存と自立①―「自立していない」と言われる場合

臨床心理士の鈴木です。

どうも気になる言葉。
「依存」。
「依存が問題だ」と、患者さんや、その家族からも聞きます。

アルコールや薬物に対する依存は問題です。
対人関係の依存もいき過ぎると問題となります。

ただ、最近では「共依存」など、あまり役立たない概念が猛威をふるっています。
まるで依存が悪いかのようです。

実際のところ我々は、人に何らかの依存をしているものです。
特に家族や恋人など、特別な関係なら尚更です。

ここでよく問題となるのは、心の病になり、仕事ができず、家族の世話になっていて、なかなかよくならない場合、それを家族が「依存が原因だ」「甘えているのが原因だ」「自立できていないのが原因だ」として、本人に「自立しろ」と促すことです。
だいたいは失敗に終わります。

本人の「寂しい」「受け止めてもらいたい」「苦しい」という、メッセージを無視することとなり、さらに症状を悪化させます。
家族は「やはり自立できていないからだ」として「趣味をもちなさい」「仕事しなさい」と指示してしまいます。
そうすると本人は「わかってもらえない」と思うようになり、症状の悪化を招くのです。

ではどうすれば良いのでしょう。
「自立している」と思われる人間になればそれでよいのでしょうか?

次回に続く。

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