人を操ることは簡単にはいきません

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

先日のテレビで「人を操る」ということをテーマで番組をやっていました。

テレビでやる心理学的なことって、いい加減なことが多いので見ないことが多いのですが、よく患者さんから質問されることもあるので、気が向いたときはみるようにしています。

家事を手伝わない夫に包丁やらエプロンやらを買ってあげたら家事をやり始めた、なんて実験をしていました。

実際のところはそうはうまくいかないとは思いますが、なかなか面白い手ですよね。

男性は形から入る人が多いから物を買ってあげる、という理由だそうです。

それ以外にも理由はありそうですけどね。

例えば返報性の原理という心理的な作用なんか考えられるのでは。

返報性の原理というのは、他人から何かをしてもらうとお返しをしなければならないという感情が働きやすくなることです。

心理学の実験でも確かめられています。

この原理を利用して企業なんかが物を売る時によくやっているのですよ。

試食なんかが典型例です。
返報性の原理も狙っていることはあまり気づきませんよね?
「無料でプレゼント」なんていうものもそうですよ。

つまり返報性の原理から解釈すると、夫は包丁やらエプロンやらを妻に買ってもらうことによって、何かお返しをしなければならないという感情が働き、妻の言うことを聞きやすくなった、とも考えられます。

もちろん、いくらもらっても「嫌だ」という人もいるので、簡単にはいきません。

しかも「最初のうちは家事を手伝ってくれたけれど、いつの間にかやらなくなった」ということが多々あります。

つまり、家事という行動を一度起こさせるだけでは不十分で、それを維持させていく手段もセットで考えないといけません。

人を操るなんて、そう簡単にできるもんではありませんよ。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は 浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


育児は楽しくなければならない?

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

よく芸能人が子どもを出産した後、「育児が楽しい」と言っています。

子育て中のお母さん達の中には、そのような芸能人のはなしを聞くと「育児を楽しいと思えない私はダメ」と落ち込んでしまう人が結構います。

育児雑誌にはバランスの良い食事、上手なしつけの仕方、効率のよい家事の仕方などが書いてあります。
読書が実際にやっているのをのせていたりします。

そういう本を見ると「自分は普通以下にしか育児をできていない」と自分を責めてしまう人もいます。

こういう自分を責める人って、ある人がいいところがあると「みんなそうなんだ」と、過度に一般化していることがあります。
あと、自分が出来ているところは「こんなことはできていて当たり前」と思ってしまう。
そうすると自己否定ばかりになってしまいます。

育児は楽しいこともあれば、苦しいこともあります。

しつけはうまくいくときがあれば、うまくいかずイライラする時もあります。

家事だっていつも完璧ばかりであるはずもありません。

そんな感じの人は、自分の考え方の癖に気づき、現状の自分をまず自分が認めてあげて、自分ができていることを意識してみて下さいね。

それができない場合は、周囲や専門家に助けを求めてみましょう。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は 浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


口コミはやっぱり注意

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

口コミ業者が嘘の口コミを書かせたニュースが先日までニュースをにぎわしていましたね。

よくよく考えてみたら以前の記事、「体験者の声について」で、口コミには気をつけるように書いていました。

口コミはあたかも体験しているかのように書いています。
体験談の方が心に残りやすいもの。
それが嘘の体験談であっても。

相変わらず書籍やインターネットで安易な「治療法」がまん延しています。

悩んでいる時は冷静な対処ができなくなっていることも以前書きました。

心の悩みを抱えている人は悩んでいます。
しかし、どんな治療法をうければよいのか、どこにいけばよいのかわからないものです。
そんな時、口コミを信じてしまう可能性があります。

口コミが役に立つこともありますが、安易に信じることには注意しなくてはいけませんね。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は 浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


埼玉県の西浦和で業界No.1のカウンセラー?

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

CMや広告で
「この商品が選ばれる理由は○○が業界No.1だから」
ってよく見ますせんか?

それをみて「おっ、良さそう」と思って、ついつい買ってしまいたくなりますよね。

このフレーズって、仕掛けがあるのですよ。

まず「~だから」というフレーズ。
理由を伝えることで人を説得しやすいという心理学的な実験があります。

だからよく人に何かを頼む時は理由を言った方が良いのです。
例えば、職場で上司が部下に「これやっといて」というより、「○○までにやらなくてはいけない案件で、忙しくて手がまわらないんだけど、手伝ってくれると助かるんだけど」とか。
そんなうまくはいかないと思いますが「これやっといて」というよりは印象よいですよね。

カウンセリングの中では自己主張の練習なんかにもよく使われています。

あと「業界No.1」というフレーズ。
「No.1」と言うだけで、その商品が良いとは一言も言っていないのに、その商品は良いのではないかと感じてしまう、という人間の思い込みを利用しています。

「埼玉県の西浦和でうつ病のカウンセリング治療成績No.1臨床心理士の鈴木です」
というと、なんとなく腕が良さそうに見えません?
西浦和周辺で精神科の病院ってあまりないので、うつ病のカウンセリングをやっている臨床心理士は多分私しかいませんけど(他にいたらすみません)。

こんな風に見てみると、違った角度でCMや広告が見られるかもしれませんね。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は 浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


人前で話す時に緊張してしまう人はどうすればよいか

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

私が講演会の講師をやることがある、というと「鈴木さんは人前で緊張しないんですね」と言われます。

そんなわけはありません。

多くの人の前で話すのは緊張します。

時間が近づくにつれ、胸のあたりに独特の感覚が出てきます。

時々足が震えることもあります。

「つまんない講演会だったな、って思われたらどうしよう」とも考えます。

すぐに治まりますけど。

人前で話すのが緊張して困っている人の多くは、不安を下げようとばかりする傾向があります。

深呼吸したり、プラス思考にしたり、リラクゼーションしたり、頓服のんだり。

それですめばよいのですが、本当に緊張する時ってそんなことはあまり役に立ちません。
むしろ、悪循環になってしまうことが多いでしょう。
対処方法ばかり考えていたら、だんだん疲れてきて、人前で話すことを避けるようになってきてしまいます。

緊張感が出てきたときのコツは緊張感を受け入れていくこと。

「緊張感を受け入れたら緊張感はなくなる」というのは受け入れたことになりませんよ。

「受け入れる」というのは緊張を下げるのではなく、「緊張との付き合い方」を変えていくということに近いかもしれません。

それは認知行動療法の中で練習方法があるので、人前で話すことが苦手で困っている人は相談に来てください。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は 浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


埼玉県の川越でうつ病の講演会やってきました

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

今日は川越で講演会の講師をしてきました。

テーマはうつ病を中心とした心の病気への対応について。

会場は医学アカデミーという、専門学校です。

120124_1242~01

学校でやったといっても学生さんではなく、対人援助の専門家対象です。

3年前にもやったのですが、立ち見になった方もいたようなので、今回は広い会場になっていました。

川越市の地域包括支援センター主催でケアマネージャーのみなさんが対象でした。
看護師さんや、介護福祉士さん、など様々な資格をもっている方が集まっていました。

今日は会場まで車でいこうと思っていた私。
そうしたら昨日からの雪で道路が凍っているではありませんか。
もともと車の運転はそれほど得意ではなく、後部座席に悠々と座っているのが好きなタイプなので、凍っている道を走りながら会場に行く時、かなりドキドキしながら運転しました。

うつ病も含めて精神疾患については教科書的なことはわかっていても、実際のところのはどうなのかと迷っている専門家も多いもの。

うつ病って診断されていたら、本当にうつ病なのか。
がんばれっていうのはダメと言われているけれど、本当にダメなのか、どうすればよいのか。
教科書的な対応だけで本当によいのか、など。

薬飲んで休んでいれば治る「うつ」ばかりではありません。
マニュアル対応だけではうまくいかないもの。
だから、その人に合った治療計画が大事。

あたりまえといえば当たり前ですが、実行するのは難しいものです。

2時間半の講演はあっという間でした。
終わるころには喉がガラガラに。
しゃべりすぎました・・・。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は 浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


睡眠薬を飲んだ後は

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

睡眠薬を服用している方は、服用した後何をしていますか?

睡眠薬を飲んでからインターネットやら掃除やら色々と活動して、いざ寝ようとすると眠れない、ということを聞きます。

睡眠薬を飲めば強制的に眠れると誤解している人が結構います。

睡眠薬を服用している場合でも、やはり寝る1時間前くらいには刺激的な活動は避けましょう。

刺激的な活動の代わりに、自分なりの眠るための行動(アロマ、リラクゼーション、ホットミルクなど)をして下さい。
その行動が本当に睡眠にきくかどうかは別として、寝る前にはまずは刺激的な活動以外のことをすることが大切なのです。

そのようにしながら少しずつお薬がなくても眠れるような生活習慣をつけていくとよいですよ。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は 浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


自律神経失調症という病名は・・・

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

自律神経失調症っていわれることないですか?

実はそのような病名はありません。

精神科の診断基準はDSMというのとICDというものがあるのですが、どちらにも自律神経失調症なんて病名はありません。

似たようなものはありますけど。

実際のところは自律神経の乱れによる症状自体はあるわけです。

ただそれは精神科の病気(そうとも限りませんが)にともなって起こる症状という理解をした方がよいのかもしれません。

病名って難しいですよね。

一般の人に広まっている「病気」と思われているものでも、そのようなものがなかったりします。

あと精神科の病名って、ず~と診断基準も病名も同じではないんですよ。

時代によって診断基準や診断名も違ったりします。

例えば現在は「神経症」っていう言葉は診断基準の名前としてはでてきません。

うつ病も今と昔では診断基準は違いました。

結構精神科の診断って難しいものです。

一般の人はもっと大変ですよね。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は 浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


うつ病は3ヶ月で治るのか?

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

心の病気について色んな書籍がありますよね。

私は時々一般の方向けで書いてある、有名な先生のコメントをみて疑問に思うことがあります。

一般向けの雑誌では「うつ病は薬と休養で3ヶ月で必ず改善します」と言っておきながら、
専門家向けの雑誌では「うつ病が薬と休養で3ヶ月で必ず改善する、なんて言うことは問題」
なんて言っていること。

調子がいいですねぇ。

某大学病院の先生は一般向けの雑誌で「私のところにくれば、うつ病は薬と休養で8割は治る」と大胆発言していることも。
本当にそうだったらすごいのですが・・・。

いろいろと大人の事情があるのでしょうけれど、一般向けの雑誌の専門家の発言ってどうなんでしょうね。
発言している本人に会う機会があったら、怒らせないように聞いてみたいものです。

薬と休養によって3ヶ月くらいで徐々に回復する人もいるけれど、年単位で改善していく人もたくさんいます。

薬と休養だけでは不十分なので、環境調整やカウンセリングをしながら治っていく人もたくさんいます。

うつ病で苦しんでいる人なら、どこから3ヶ月という数字がでてくるのか?と思う人もいるのでは。

3ヶ月で良くならないと「もしかして私は重症では?」と思って落ち込んだり、周囲からは「3ヶ月経ってもよくならないのはやっぱり怠けだ。もっとがんばれ」と言われ落ち込む、という話もききます。

うつ病は3ヶ月で改善する病気、というフレーズをみたら注意しましょう。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は 浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。


薬は全てを解決するのか?

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

私はブログでお薬以外の対処方法について書いているので、アンチ薬物療法なのか?と思われがちですが、そうではありせん。
心の病気でお薬を服用することは大事ですよ。

認知行動療法にも限界がありますし。

カウンセリングにこられる多くの方が薬物療法と併用していますし、お薬が必要じゃないかなと思えば医療機関の受診をすすめることもあります。

しかし、お薬をなんでも前向きに解決してくれる魔法の薬としてはマズイと思います。

過労でうつ病になった人が、薬を飲んで治っていったからといって、また以前と同じペースでやってしまうと、再発しやすいでしょう。
無理な働き方を改善したり、仕事に対する考え方を振り返った方がよいと思います。

昔から人生に虚無感を抱いていた人が、薬を飲んだら虚無感がなくなり、ハッピーになるということはないと思います。
自分がどこに価値を置き、どのようにしたら充実した人生になっていくのかを考え、行動していかなければいけないでしょう。

パニック障害で電車が怖い人や社交不安障害で人前で緊張する人が、薬を飲んで良くなったら、それからの人生においてもう恐怖や不安を感じなくなるのかといったら、それはないでしょう。
不安や恐怖はゼロになることないと思います。
恐怖や不安との付き合い方を学んだ方がよいかもしれません。

お薬は大事ですが、これまでの「生き方」や不安とのかかわり方を見直していかないと、また同じことを繰り返してしまうこともあるかもしれません。

何度も再発している人やなかなか良くなっていかない人は、今一度自分の生活スタイル、不安との付き合い方を振り返ってみてはいかがでしょうか?

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は 浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。