【強迫症】知らないとマズイ!頭の中でやってしまう強迫行為とその対処法

浦和すずのきクリニックの鈴木です。

強迫症(強迫性障害)の人は自分がやっている強迫行為をきちんと把握できていますか?

強迫行為とは、不安な考え(汚れたのではないか?鍵をしめ忘れたのでは?)が浮かんできたときに、繰り返しやってしまう行動(手洗い、確認)です。

実はこの強迫行為をきちんと把握できていない人は多いです。

把握できていないと、強迫行為をいつまでもやってしまうので、ある一定のところからなかなか改善しません。

特に目に見える強迫行為(手洗い、確認など)はわかっていても、「頭の中でやってしまう目に見えない強迫行為」は知らない人も多いのではありませんか?

そこで今回は頭の中でやってしまう強迫行為とその対処法について解説します。

 頭の中のでやっている強迫行為の例

頭の中でやっている強迫行為は以下のようなことが代表例です。

洗浄・不潔強迫の場合

以下のことを言い聞かせる

・「さっきここは拭いたからバイ菌がいないから大丈夫」

・「HIVウィルスは○○だと死んでしまうから大丈夫」

・「さっき○○さんが触っていたから大丈夫」

確認・加害強迫の場合

・鍵をしめたかどうか記憶をたどる

・「誰か車で引いたのならわかるはずだ」と言い聞かせる

縁起強迫の場合

・悪いイメージが浮かんだら良いイメージを思い浮かべる

・「さっき考えていたことは自分が思っていることじゃない」と言い聞かせる

このように不安な考えが浮かんできた時に頭の中で安心しようとしてやってしまうことも強迫行為です。

自分が安心できる考えにならないと納得がいかず、なかなか動きだせない人もいます。

頭で言い聞かせることに必死で、その時に話しかけられると「台無しになった」と考え、最初からやり直していることもあります。

残念ながらこれらが強迫行為であることを知らない医療従事者も多く「さっきキレイにふいたからバイ菌はいないと思いなさい」などと強迫行為を指示されることも多い印象です。

このため患者さんに頭の中の強迫行為があるという情報が入ってこないのかもしれません。

 理屈で何とかしようとすると強迫は悪化する

特に「HIVは○○だと死滅してしまうから大丈夫」など知識を得て理屈で説得させようとする人が多いです。

正しい知識を得られれば強迫は克服できるだろうと考えがちですが、実際には「万が一そうじゃなかったらどうしよう」など新たな不安が浮かんできて、うまくいきません。

それどころか、理屈でなんとかしようとすることは不安な考え(強迫観念)を大きくさせる作用もあります。

強迫観念は議論が大好きなんです。

例えば車を運転している時「誰かひいたらわかるはずだから大丈夫」と言い聞かせても「さっきの音は誰かひいた音かもよ。自分が気づかないだけでひいているかもよ」といくらでも強迫観念は反撃してきます。

理屈では強迫観念に勝てません。

正しい知識をいれただけで改善するなら、強迫にはなっていませんからね。

頭で安心させようとするのはやめた方がよいでしょう。

 頭の中の強迫行為への対処法の一例

頭の中で安心させるのはダメだからそういうことを「考えないようにしよう」としてもうまくいきません。

「考えない」って難しいんですよ。

そもそも「考えないようにしよう」と思っている時点で考えてますからね。

対処法の一つはあえて逆のことを考えること。

不安な考えが浮かんできてもやり過ごすことができるようになります。

やり方

不安な考えが浮かんで来たら・・・

「HIVに感染したかも」→「はいはい、HIVに感染したね」

「車で人を引いてしまったかも→「人を引いてしまって、逮捕されるね」

「何か悪いことがおこるかも」→「悪いことが起こるね」

などあえて不安な方を考えます。

あえて不安なことを考えるので「大丈夫」など安心する考えも邪魔できます。

そうすると当然不安が強くなりますよね。

しかし、そのまま強迫行為をせずにあえて不安なことをやったり、日常生活を過ごすことができると必ず不安が薄れてきます。

この練習を繰り返していくと怖い考えが浮かんできてもやり過ごせるようになってくるのです。

 注意点

注意してほしいのは、頭の中で怖いことを考えるだけで治るわけではありません。

目に見える強迫行為をやめたり、不安なことをあえてやったりすることを組み合わせることが必要となります。

また頭の中でスッキリ感を求めたり、じーっと考えるタイプの強迫タイプには、この対処法ではなく別の対処がよいことがあります。

やり方がよくわからない、なかなか改善しない場合は、認知行動療法の専門家に相談することをおススメします。

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