浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
本を読む時に「きちんと読めていないのでは」と考え、何度も読み返して、なかなか先に進めない人はいませんか?
強迫症でよくある症状です。
読書や勉強、書類に目を通すなど、様々な場面で支障をきたすようになります。
このタイプは読書だけでなく、動画を見る時も何度も戻ってみてしまう、文字を書くときに完璧に書いたか気になり書き直すなど、似たような症状を併せ持つ人も少なくありません。
この記事では、読書をする時に何度も読み返してしまうタイプの強迫症状への対処法を説明します。
実践することで、読書が楽になってきますよ。
何度も読み返してしまうといっても、その理由は人によって様々です。
一番多いのは「きちんと読めていないでは」と考えて、読み直してしまうタイプ。
読めていないことで明らかな不安があるというより、なんとなくスッキリしないから読み直したい!って人の方が多い印象です。
今回は、このタイプについての対処法について説明します。
まずは強迫観念と強迫行為をおさえておきましょう。
読書をする時に「きちんと読めていないでは」と浮かんでくるのを「強迫観念」と言います。
強迫観念があるとモヤモヤしてスッキリしたり安心したりするために読み直します。
これが「強迫行為」です。
強迫行為をやることで一時的な安心感を得ることができます。
しかし「やっぱり読めていないような気がする」「なんとなくしっくりこない」と考えて、何度も読み直すことになります。
強迫行為はやればやるほど強くなる性質があるのです。
麻薬のようなものとイメージしてください。
読書をするのが苦痛となるので、読書を避けるようになります。
避ければ避けるほど悪化するのも強迫。
読書をしてもつらいし、避けてももっと怖くなるし、怖い範囲が広がってくる可能性が出てきます。
このように悪化していくのです。
強迫行為はやめればやるほど悪化していくので、やめなければなりません。
そのためには読み返さないことで起こるモヤモヤ感に慣れていくことが必要です。
モヤモヤ感に慣らしていくことで「きっちり読めていないのでは」と考えても、楽にやり過ごすことができるようになってきます。
改善方法は次の通りです。
本を読む時に読めていない、頭に入っていないと思っても、そのまま読み進むようにしましょう。
本当に頭に入っていなくても良いのでそのまま読み続けます。
ななめ読みのような感じでやっていくとよいです。
普通に読むだけではやっぱり戻ってしまう、って人は小さい紙などを準備して読んだ場所を隠しながら読み進めるとか、声を出して読みすすめて戻らないようにするとか、工夫すると良いです。
ページを飛ばしながら読むとモヤモヤするって人は、ページ飛ばしも手かもしれません。
こんな感じであえて自分がモヤモヤして嫌だなぁという感覚が引き起こすようなことをして、読み直しはしない練習をしていくことで症状が改善していきます。
一日のうちで練習する時間を作りましょう。
自然に読書をした時に練習するだけでは足りません。
数回やっただけではダメです。
おそらく最初のうちはうまくいかないことも多いと思います。
モヤモヤ感に慣らす筋トレだと思ってやってください。
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