浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
アルコール依存症で悩んでいる人は多いです。
ただただ「断酒しよう!」だけでは、ほとんどうまくいきません。
しかし、病院に行ってもどうやって酒をやめればよいのか?についてはなかなか教えてもらえないものです。
アルコールの問題を解決していく一歩は、飲酒したい時のきっかけやメリットを把握すること。
酒を飲まないようにするためにどのように対処していけばよいかが具合的にわかってきます。
この記事では、飲酒のきっかけやメリットを把握する方法を紹介します。
アルコール依存症で悩んでいる人、その家族の方は参考にしてください。
お酒を飲みたくなるきっかけはいつでしょうか?
きっかけがわかることで、具体的にどのような対処をしていけばよいのか?について情報が得られるのです。
まずは「外的なきっかけ」「内的なきっかけ」の二つを把握しましょう。
外的なきっかけとは、場所、時間、対人関係など環境によって、飲酒したくなるのいつか?ということです。
いつ、どこで、誰といる(もしくは誰もいない)時に酒を飲みたくなるか振り返りましょう。
例
いつ?→夕食をつくろうとしている時
どこで→自宅で
誰といる→職場の同僚から飲み会に誘われる時
内的なきっかけとは、気分や体調など自分の中にある飲酒にきっかけのことです。
酒を飲みたくなる時はどんな気持ちや体調の時でしょうか?
例
眠れない時
気分が落ち込んでいる時
イライラしている時
何となくだるい時
お酒を頼るとうことは、なんなかメリットがあるものです。
なぜ「きっかけ」の後お酒を飲むのか?メリットを挙げてみましょう。
メリットを把握することで、「なぜ酒を飲むのか?」「酒以外の方法は何か?」を理解する手助けとなります。
例
眠れない時→眠れる、嫌なことを考えないですむ
夕食を作るとき→夕食を作る面倒な感じが薄れて動ける
気分が落ち込んでいる時→気分がまぎれる
だるい時→やる気が出てくる
その他お酒を飲むメリットがあれば挙げてみましょう。
以下の質問の答えがメリットになりやすいです。
・お酒を飲むとどんな気分になりますか?
・お酒を飲むとどんな体の感覚になりますか?
・お酒を飲むとどんな良いことがありますか?
飲酒の「きっかけ」と「メリット」を把握したら、対処法を考えます。
例を挙げます。
きっかけ
→「夜寝る前」「今日起きた嫌なことが思い浮かぶ時」
飲酒のメリット
→「リラックスできる」「眠れる」
眠れないからといって夜に飲酒をするともっと眠れなくなるので飲酒はやめなくてはいけません。
ポイントは「○○しない」ではなく「○○する」を目標にすると良いです。
「お酒を飲まない」ではなく「お酒を飲む以外にどのようなことをしたらよいか?」を考えていきます。
何をやるか?は一つのヒントとして、「飲酒のメリット」に挙げられているものと同じ結果となる活動をするのが手です。
飲酒のメリットが「リラックス」→ヨガ、呼吸法をやる
飲酒のメリットが「眠れる」→睡眠薬を使用(飲酒するより睡眠薬の方が何倍も安全です)
また酒が飲みたくなるような「きっかけ」を避けることも大事です。
自宅に酒を置かないようにしたり、飲み会を断る練習をしたり。
「お酒を我慢する」ではなく、お酒を飲むよりも、メリットが大きいと感じられるような対処・生活をするように工夫していくことが断酒をする時のコツです。
そうでないと「ただ酒を我慢。良いことなんて何もないから、酒を飲んだ方がマシ」となってしまいます。
このように飲酒しやすいきっかけ、飲酒のメリットを把握することで具体的な対応策が見えてきます。
ただアルコール依存症の治療は一人では難しいので、専門家のもとで相談することをおすすめします。
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