浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
財布を出した時「何か大事なものを落としたのでは」と不安になっていませんか?
ひどくなると、クレジットカードや財布をもてなくなります。
またそういう人は、落とすのが嫌なので歩いている時に後ろを振り返って何度も確認することも。
この記事では「大事なものを落としたのではないか」という強迫観念をもっている人への克服法について書いていきます。
きっちりやっていけば、良くなっていくので、是非実践してください。
なぜ強迫がひどくなっているのかを理解しましょう。
最初は不安な時に軽い気持ちで確認をしてホットしていたのかもしれません。
しかし、強迫性障害は確認すれば確認するほど不安が強くなる性質があります。
不安が強くなる流れは以下の通り。
大事なものを落としたのでは
→不安
→落としていないか確認
→一時的に安心
→本当にそうか、見間違いではないか
→不安が強くなる
→落としていないか確認
一度確認するとだいたい止められません。
確認は「麻薬」のようなもの。
この悪循環を止めていくことで克服できます。
強迫性障害の克服するカギは「不安に慣れていくこと」です。
強迫でない人は多少の不安があっても流すことができますが、強迫の人はその不安に耐え切れないのです。
このため不安に慣れていく練習をします。
不安に慣れるためには当然不安なことをやっていかなくてはいけません。
具体的にどうしていけばよいか?というと、
①「落としたのでは」と不安が強くなることをする
②確認するなど、これまで安心するためにやっていたような行為をしない
この二つをやります。
専門用語でいうと①が「曝露(ばくろ)」 ②が反応妨害という方法です。
具体的に対処法を考えていきましょう。
「財布の中の大事なものを落としたのではないか?」考えて不安な人であれば、これまで安心するためにやっていた行動や避けていたことがあるハズです。
それをピックアップしていきましょう。
ピックアップしたらこれをもとに①の不安なことをあえて引き起こして、②安心することをしない、を実行します。
よくある例はこちら。
・財布を出した時、何度も落としていないか確認する
→財布を出した時に何も確認せずお金を取り出し払う
・頭の中で「落としていない」と考える
→「落としてしまった」と不安なことをあえて考える
・道を歩くときは何度も振りかえる
→「もう落とした」と考え歩き続ける
・家族に落としていないか確認する
→家族に「もう落としちゃったよ」と言ってもらう
・ファスナーのあるバッグを持ち歩く
→ファスナーのないバッグに大事なものを落としそうなところに入れておく
・クレジットカード、保険証は持ち歩かない
→落としそうなポケットにいれて持ち歩いたり、自転車にのったりする
・外出前に現金がいくら入っているか確認する
→確認しないで外出
・帰宅後に現金がいくら残っているかレシートで確認する
→レシートはもらわずいくら残っているかも確認しないで不安のままでいる
要するにこれまで安心するためにやってきたこととは逆のことをやっていけばよいのです。
このような感じで、ワザと不安になるようなことをやっていきます。
一時的に不安は高まるでしょう。
しかし、時間が経つにつれて不安は必ず弱まってきます。
この練習を何度もやっていくと、不安のピークは少なくなってきて、「落としたのではないか?」と不安になっても気にならなくなってくるのです。
ポイントは不安が弱まるまで、安心する行動は絶対にしないこと。
「一回くらいはいいだろう」と、確認してしまうと一時的に軽くなることはあっても、良くはなりません。
むしろもっと不安が強くなります。
なかなか練習してもよくならないって人はここが問題になっていることがほとんどです。
また頭の中の確認にも注意してください。
記憶をたどって「大丈夫、落としてない」とかやってはいけませんよ。
一人でできない人は私と一緒に外出しながら、練習もできます。
「勇気がなくてできない」となっていたり、一人でモンモンと悩んでいたりするより先にすすみやすいです。
うまくいかない時は相談に来てくださいね。
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