浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
昔、仕事でよく上司から「この問題の原因は何?」って聞かれて「いろいろ絡み合ってるんじゃないですか」って言って怒られてました。
マジメに答えすぎましたね。
今でも間違っていないと思っています。
原因が一つなわけない。どうすれば良いか考えた方が絶対物事はうまくいきます。
この場面ではそれらしい原因を作って対策をお話することが人間関係を円滑に保つために正解となるんでしょうけど。
あえてそうするのメンドーなんですよね。
私は社会人としては問題かもしれません。
まぁ、こんな私でも何とか生活できてるので、社会性で悩んでいる方は勇気をだしてもらえれば(笑)
とまぁ、人は原因なんて一つじゃないのに原因探しをしがちなんです。
これは人間の錯覚というか考え方のクセが影響しているのかも。
原因を自動的に考えてしまう錯覚
次の文章を読んでください。
ある夫婦が夜中大ゲンカ。
翌日、妻の目は赤くはれていました。
さて問題です。
あまり考えずに答えてください。
妻はどうして目が赤くはれていたのでしょう?
ケンカをして泣いたから目が赤く腫れたと思いませんでした?
目が赤くはれた理由なんて他にもいろいろあるはず。
結膜炎になった、目をぶつけた、なんとなく目をこすった、とか。
前に「大ゲンカ」って文章があると、そこに結びつけたくなりますよね。
人は出来事の前後に起こったことを原因と結びつける「考え方のクセ」があるんです。
これはものすごく強力。
風邪薬なんか典型ですよね。
風邪薬は風邪を治す効果はありません。
症状を緩和させるだけです。だから風邪薬についての説明をみると絶対に「風邪を治す薬です」とは書いていません。
自分の免疫力で治っているのです。
しかし、多くの人は風邪薬は治す薬だと信じています。
それは風邪を引いた後、薬を飲むからです。
自然に治ったにもかかわらず、「薬で治った」と考えます。
これはもう洗脳レベルになっているんじゃないかなぁ。
今この説明を見ても納得いかない人が多いのでありませんか?
原因を特定したがる心理が働いているんですよ。
心の病気についても自動的に原因を探し出そうとしてしまう。
心の病気になった時「この原因はなんだろう」って考えてしまいます。
調子の悪くなった手前くらいのことを思い出して「これが原因では?」と考えます。
「あの時、○○が起こったから調子が悪くなった」とか。
無理に原因を探すと、悪者さがしになってしまい、良い方向にいかないことが多いんです。
今のところ心の病気の原因はすべて不明です。
セロトニンも心の傷もストレスも性格も遺伝も、まぁいろいろと合わさって起こってるんだろうなぁってなってます。
だから原因を探ってもうまくいかないんです。
原因ではなくどうやったら良くなっていくかを考えましょうね。
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