地震後の心のケア

臨床心理士の鈴木です。

この度の東日本大震災で被災され方に心よりお見舞い申し上げます。

この震災で私の知っている臨床心理士や医療スタッフでも被災された方がたくさんいました。
地震以降心身の不安を訴える人も多いようです。
被災者でもある臨床心理士や医療スタッフが被災地で心身のケアにあたっています。
これからさらに心のケアの需要が増えてくるでしょう。

一方で、被災地の方だけでなく、首都圏の住んでいる方も精神的に不安定になっていることが報道されています。
それは様々な要因があるとは思うのですが、最近多いなと感じることがあります。
その一つなのですが・・・
毎日のようにテレビで「がんばろう」というメッセージが流れます。
それをみて「しんどい」と思う人が増えているような気がします。

前向きなメッセージで奮起する人はよいと思うのですが、それによってさらに落ち込むパターンもありますので、注意が必要です。
さらにこれが長期化してくると、がんばることができていた人もエネルギー切れになり、落ち込むパターンになりかねません。

また被災地の人が大変苦労しているのを見て「自分は苦労していない」と自分を責めて落ちこんでいっている人も少なくありません。
これも「自分はもっとがんばらなくては」ということが裏目に出てしまうパターンです。

このような時期に不安定になることは当然の反応といえます。
震災直後は「何とかしなくては」とがんばれていても、時間が経つと疲れてがんばりがきかなくなってくることもあるのです。
前向きな考えになれない自分を責めても、良い結果とはなりにくいでしょう。

何事もバランスが大事です。
「こんな時こそ前向きに思わなくては」だけでは長期戦には耐えられないように思えます。
がんばれるときもあるけれど、「がんばれない」時もある自分を認めてあげましょう。
そうすることが心身の回復を早めていくものですよ。

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