浦和すずのきクリニックの鈴木です。
全般性不安症って聞いたことありますか?
・将来、お金で困ってしまうのでは
・家族に悪いことが起こってしまうのでは
・事件に巻き込まれるのでは
・何か病気にかかってしまうのでは
・仕事がうまくいくかどうか
このような不安は誰もが抱くことですが、不安をいくつも抱えて過剰に悩み、ずっと不安状態が続く病気です。
他の不安症と比較すると治し方に関する情報が少ないため苦労されている方もいるかと思います。
そこで今回は全般性不安症の症状と薬以外の改善方法5つ説明します。
全般性不安症は仕事、お金、病気、家族のことなど様々な分野についての不安を悩みます。
例えば
・家族が犯罪に巻き込まれたらどうしようと考えて一日何回も安否確認をする
・仕事を完璧にこなすため事前準備をしすぎる
・将来、金銭的に困るのではないかとずっと考える
・重大な病気ではないかと不安で何度も病院にいく
・約束の時間に遅れることが不安でかなり前から準備をする
・政治経済、戦争のことなど自分ではどうしようもできないことを心配する
一つ一つの心配は誰にでもあることですが、これを一日中考え何度も確認してしまう、過剰に準備をする、安心感を求めすぎるなど心配度合いが過剰なのです。
他の不安症よりも不安になるテーマが広く、不安の種が生活の中にたくさんあるので長い時間悩みやすいです。
また心配することにより、眠れない、疲れがとれない、緊張感続く、集中力の低下、怒りやすいなどの症状も出てきます。
うつ病や他の不安症とも合併しやすいと言われているのも特徴です。
対応方法としては薬物療法や認知行動療法ですが、ここでは薬物療法以外の基本的な対処法について説明します。
不安な時は考え方が偏っています。
偏った考え方に気づくことで、不安から抜けだすためのきっかけになりやすいでしょう。
今回は不安な時に起こりやすい代表的な2つの考え方のクセを紹介します。
一つ目は「悪いことが起こる確率を高く見積もる」というもの。
「この頭痛は脳梗塞かもしれない」と不安になったとしましょう。
一般的は頭痛がしたから脳梗塞だと思う人は少ないと思いますが、脳梗塞である可能性が高く感じられるのです。
この考え方の偏りを現実的でバランスのよい考え方にする練習をしましょう。
練習法の一つは高い確率で不安なことが起こる根拠を探してみることです。
・頭痛がしたから脳梗塞である可能性は何%?その根拠は何?
・これまで何回頭痛がした?脳梗塞であったことはあった?
自分に問いかけることで思っているよりも脳梗塞である可能性を高く見積もっていたことに気づきやすくなります。
もう一つの考え方のクセは「不安なことが起こったら最悪のことが起こって対処できない」という考え。
例えば「仕事でミスをして解雇されてしまい、再就職も出来ずホームレスになってしまう」など。
「ミスをしたら解雇」もおかしな話ですが、解雇されたら再就職できないのは本当でしょうか?
冷静に考えると普通に就活して再就職できる可能性はあるのに、なぜか出来ないと最悪のことを考えてしまうのです。
対処法としては
・最悪のことが起こる可能性はどれくらいか?
・悪いことが起こった時に対処できないのは本当か?その根拠は?
・他人が同じことを考えていたら何といってあげるか?
このような質問を投げかけることによって、考え方のクセに気づき「悪いことが起こってもなんとかなるかも」と考えやすくなります。
不安なことが起こる可能性が低いのはわかるけれど、やっぱり不安という人はこちらの記事も参考にしてください。
全般性不安症の人は体の緊張が強く不安に悪影響を及ぼすと言われています。
このため体の緊張を緩和するリラクゼーションも有効だと言われています。
リラクゼーション法はいろいろありますが、全般性不安症に対してよく紹介されているは「筋弛緩法」です。
筋弛緩法のやり方ですが立命館大学の相談室の説明が図もありますし、音声ガイダンスもあるのでわかりやすいかと思います。
筋弛緩法でなくても、呼吸法など自分に合ったリラクゼーション法を使ってください。
リラクゼーション法ではありませんが、瞑想をすすめているものもあります。
どのやり方でもそうですが不安な時だけやってもあまり効果はありません。
普段から一日に2~3回、時間をとってやることが必要です。
やり方にもよりますが、5分~30分くらい練習しましょう。
筋弛緩法は30分くらいかかります。
数ヶ月単位でやり、すぐに効果を求めず粘り強く練習してください。
不安なことばかりインターネットで調べていませんか?
不安になると不安に関する情報を集める生活になりがち。
悪いことが起こりそうな情報ばかりに目が向くので、本当に不安なことが起こりそうだと考えやすくなります。
自己啓発や心理学の本ばかり読んでませんか?
不安への対処法について知ることは必要ですが、対処法ばかり見ているのも問題です。
不安への対処法で一日の時間を費やしてしまい、結果的に不安なことを考えその他の楽しいことに目が向きません。
このように全般性不安症の人は不安に意識が向きやすい生活をしがちです。
安心や対処のためにやっていることが余計不安を高めるのです。
このため、不安に意識が向きやすい生活から不安以外のことに意識を向けるような生活をこころがけることが必要です。
不安に関する情報を集めるのではなく、楽しいことや生活に必要な情報を集めるのがよいでしょう。
自己啓発本ばかり見るのではなく、自分の好きな本を読むようにしましょう。
不安なことを考えやすい時間帯がわかっているなら、その時間帯に友人と会ったり、運動したり、不安でやっていなかったことなど予定を立てると不安なことを考える時間は減りやすくなります。
全般性不安症ではたくさん不安なことが思い浮かんできます。
考える時間が長いのが悩みという人もいるでしょう。
そんな人にオススメなのは毎日心配タイムを作ること。
手順は以下です。
①考える心配事を決める。ただし心配事の内容は単発でおこる事ではなく、解決しないのにいつも繰りかえし考えてしまうものにする。
②毎日決まった時間に30分くらい心配する時間を作る。決めた心配事以外は考えてはいけない。
③終わったらリラクゼーションを行う
④心配タイム以外に不安なことが浮かんだら、考えるのを心配タイムまで保留にする。
心配タイムを作ることで心配なことが浮かんでも「後で考えよう」とできるので、心配事を考える時間が減ります。
考えることを先延ばしすることで、心配タイムの時はどうでもよくなっている可能性もあります。
また、集中して考えることによりだんだん飽きてきて「もしかしてどうでもよいことかも」と思えるかもしれません。
ズルズル不安なことを考え続ける人は試してください。
不安なことが起こらないように予防したり回避したりしていることはありませんか?
子供が事件に巻き込まれているのか心配でGPSを何度も確認する、とか。
この場合、確認しても心配になりいつまでも安心できないものです。
確認回数は増え、むしろ確認しなければ不安なことが起こる確率が高く感じられます。
不安が起こらないように予防することは不安を維持する要因となります。
「予防しているから悪いことが起こらないのだ」と考え、予防しなくても不安なことが起こらないことが実感できません。
いつまでも確認が止められず不安なことを考え続けます。
このため、予防していることがあればやめる実験をする必要があるのです。
子供の位置をGPSで確認しているなら、確認をしない、または確認の回数を減らすとよいでしょう。
上司に怒られると不安で仕事を完璧に終わらせようとしているなら、完璧でない状態で帰宅してみてください。
クレジットカードでネットで買い物をしたら情報漏洩し莫大な金額の請求をされると不安ならネットショッピングをします。
「そんなことして本当に悪いことが起こったらどうするの?」と不安になるかもしれません。
不安なことが起こる確率を高く見積もり、不安なことが起こったら対処できないと考えているためです。
そんな人は、最初に説明した方法でどれくらいの確率か?本当に対処できないのか?を考えてみましょう。
どうしても難しいのであれば、難易度の低いものから始めるとよいです。
このように不安なことが起こらないようにしていたことをやめたり、回避していたことをやってみることで、不安なことは起こりにくいことが実感でき、起こっても何とかなる経験を積むことができます。
何度もやっていくことで不安なことがあっても「何とかなる」と思えるようになりますよ。
全般性不安症への対応は他にもありますが、一人でやるには難易度が高そうなものは割愛しています。
しかし、今回紹介した方法を徹底してするだけでも悩む時間が減りやすくなります。
全般性不安症で悩んでいる方は参考にしてください。
一人でやってもなかなかうまくいかない人は認知行動療法の専門家に相談してください。
カウンセリング・認知行動療法ご希望の方は浦和すずのきクリニックのホームページをご覧ください。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。