浦和すずのきクリニックの鈴木です。
人前で話す時に緊張して声が震えてしまう、体が震えてしまうことで悩んでいる人はいませんか?
学校や仕事で支障をきたすようになってくると「社交不安症」といわれることがあります。
緊張しない・震えない方法を調べてリラックスするとか、ポジティブに考えるなどしても改善しない人がほとんだと思います。
話し方教室に行っても、何度も場数を踏んでもダメだったのではありませんか?
原因の一つは改善するためのポイントがずれているからです。
そこで今回はこの症状について改善するために必要な3つのポイントについて説明します。
認知行動療法という社交不安症に効果的な方法に基づいたものですので、参考にしてください。
声の震えで悩んでいる人は「声が震えることで馬鹿にされたらどうしよう」「震えることで心配されるかも」など「声の震えや緊張を他人から否定的に思われる」と考えています。
この考えによって不安が強くなり、さらに震えるようになります。
まずはこの考え方が本当かどうか疑うことから始めましょう。
以下の質問に答えてみてください。
実際にダメだと思われている根拠はあるのでしょうか?実際に言われましたか?
よく「以前言われたことがある」という人もいますが、それが今回も当てはまると言えるのでしょうか?
人前で発表する場合、声が震えていたらそんなにマイナスになるのでしょうか?実際にマイナスの結果になったのでしょうか?
マイナスの結果だった場合、それは声が震えていたからなのでしょうか?
発表の内容よりも震えているかどうかだけで判断されるのでしょうか?
「頭が真っ白になってうまく話せていない」という人は、本当に何も話さなかったのでしょうか?
結局最後まで話したのではないでしょうか?
答えられましたか?
ダメという根拠は少なくて、言われてもいないし、「うまく話せていない」とは思っていても、それなりにこなせている結果になっている人が多いのではないでしょうか。
社交不安症の人は声が震えていることをマイナスに過大評価しているものです。
震えないのにこしたことはないですが、震えていても周囲はそれほど気にしていないかもしれません。
社交不安症の人は自己評価を低く見積もっており、実際の他人の評価とは大きな差があると言われています。
震えていてもマイナス評価にはならないことに気づくことができれば、震えることへの怖さが減りやすくなります。
このため改善すべき点は震えではなく、震えに対する自分の評価のところなのです。
よく緊張しない・震えなくなる方法を求めがちですが、それでは「震えてたらマイナスに評価される」という考えをくつがえすことはできず、永遠に悩むことになります。
これを理解せずに話し方教室に行って話す練習をしても、何度も場数を踏んでも慣れることはありません。
震えることへの極端なマイナス思考を柔軟にしていくことが必要で、ここのポイントを外さないようにしましょう。
人前で緊張する・声が震えることを隠すためにやっていることが症状の改善を邪魔していることがあります。
例えば「下を向いて話す」「早口で話す」「原稿を読み上げる」などです。
緊張するので下を向きがちになります。
人が自分に注目しているのに耐えられないのでしょう。
早口については早く話を終わらせたいというのが主な理由でしょう。
発表の時は多少のフリートークが必要な時でも原稿を読み上げて失敗しないようにし棒読みします。
想像してください。
目の前で発表している人が下を向いて早口で原稿棒読みしている人を見たらどう思いますか?
「すごい緊張してそうだな」と思いますよね。
緊張を隠すためにやっていることが実は逆効果になっているのです。
一方で声が多少震えていても前を向き、堂々と話し、棒読みではない話し方をしている人の方が好印象ですよね。
緊張を隠そうとする行動は「安全行動」と言われています。
安心のためにやっており多少の効果があるかもしれませんが、逆に緊張や震えが出やすくなり、他人に緊張が伝わりやすくなります。
また安全行動をやらなくても大丈夫であることが経験できず緊張状態が続きます。
ではどうしたらよいのでしょうか?
安全行動をやめる実験をしてみましょう。
下を向き、早口で話し、原稿棒読みしているなら、人を見て、ゆっくり話し、話す内容はメモ程度におさめてみる、など。
実験の結果、どうなったかを検討してみてください。
不安はあるけれど、安全行動をやらない方がマシな結果になることが多いです。
見た目もよくなりやすいでしょう。
確かめたければ、上記の実験内容をカメラで自撮りして確かめるとよいです。
安全行動をしない方がメリットが大きいことを実感できるでしょう。
自分の安全行動を振り返り、やめてみる実験をしてみましょう。
人前で話すことが決まると、そこから本番までずーっと不安になりませんか?
これは予期不安と言われるものです。
予期不安が大きくなる原因の一つは事前準備や対策をやりすぎてしまうこと。
もちろんプレゼンをする時など何をどう話すかを考えたり練習することは必要かもしれません。
しかし、やりすぎると「うまく話せなかったらどうしよう」など、否定的なことを考えることが多くなり、不安がどんどん強くなりやすいのです。
「いやいや、失敗しないための入念の準備は必要でしょ」と思うかもしれません。
そんな人は準備をしすぎるメリットとデメリットを考えてみてください。
本当にメリットが大きいのでしょうか?
社交不安症の人にとってはデメリットの方が大きいことが多いかと思います。
このため必要以上に準備をすることはやめましょう。
不安がよぎることはあるかもしれませんが、考え込まないことを心がけるようにして下さい。
多くの人は声が震えないための努力に目が向きがちですが、それ自体が不安にとらわれてしまう要因になります。
声の震えがあってもそれほど大きな問題ではないことが体験できれば、囚われが減少して、結果的に震えることも少なくなることもあります。
ただ、この症状を自力で改善するのは難易度高めなので認知行動療法の専門家の指導のもとでやることをオススメします。
もっと詳しく聞きたい、自分はどのようにしたらよいのか聞きたい、という方はご相談ください。