浦和すずのきクリニックの鈴木です。
・過去の自分の一言で友人が傷ついていたらどうしよう
・昔、仕事でミスをしていて大変なことになっていたらどうしよう
・記憶はないけど過去に○○という犯罪をおかしているのではないか?
など「過去に悪いことをしたのでは」と不安になる強迫症の症状があります。
不安になって確認したり、誰かに話したりしがちですが、このようなことが実は悪化要因になっていることを知らない人は多いです。
そこで今回はこの症状への基本的な対策法をご紹介します。
過去の不安に振り回されない力がついてくると思います。
まずはなぜ過去の考えにとらわれているのか?について説明します。
この症状は少し前のことだけでなく子供の頃のことなどかなり前のことも対象となります。
「子供の頃、○○さんをからかった一言で、○○さんは今傷ついて大変なことになっているのではないか?」
「昔やった仕事でミスをしていて、それで大変なことになっているのでは」
など。
中には全く記憶はないけれど「過去に犯罪をおかしたかも」と考えることもあります。
このような不安な考えは「強迫観念」といいます。
強迫観念が出てくると安心したくなります。
代表的な安心させる行為としては確認です。
過去の仕事でミスをしたのでは?と考えているなら職場の人に確認するなど。
確認手段としてはネットで調べる、周囲へ確認するなどもあります。
犯罪を犯したのではないか?と不安なら警察に相談、ネットで弁護士に相談もあります。
人によっては昔やった悪いことを人に話すことで安心しようとする人もいます。
目に見える確認の他に、頭の中で確認することがあります。
「悪いことを本当にしたか」と記憶をたどったり、あれこれ考えて白黒ハッキリさせようとすることです。
これらのことは「強迫行為」といって、一時的には安心するのですが症状を悪化させます。
誰かに確認して「大丈夫だよ」と言われたとしても「本当に大丈夫か?」と疑問を抱きます。
疑問があればまた確認しますが、100%の確信は得られません。
仮に大丈夫と思えても、他のことがまた不安になったりするものです。
このように過去のことが不安になり、それを安心させることで症状がどんどん悪化することを知っておくことは大切です。
まずは自分が不安な考えの後にやっている行動(強迫行為)を振り返って把握してみてください。
それが不安な症状が続いている要因となります。
対応方法は人によって異なりますが、共通しているのは上記で挙げた様な強迫行為はせず悪いことをしたかどうか白黒ハッキリさせようとするのをやめることです。
悪いことをした、していない、どっちもハッキリさせるのをやめましょう。
「これは単なる妄想だから大丈夫だ」と考えても「妄想じゃなかったらどうしよう」と不安なるだけです。
白黒ハッキリさせないと何かモヤモヤしますよね。
そのモヤモヤに耐えられない!と考えて確認をしてしまうのだと思います。
しかし「耐えられない」は誤解で、安心させなくてもモヤモヤは自然に薄れていきます。
一度薄れても強くなったりを繰り返しますが、そのままモヤモヤを抱えられるようになると「不安はあるけれど、まぁいいか」となりやすいです。
もちろん、一度やったから「モヤモヤは大丈夫だ」とはなりません。
地道な練習が必要となり、数ヶ月はかかることがほとんどです。
このため粘り強く練習を継続する必要があります。
この時、単に我慢するというよりはモヤモヤを抱えながら生活をする、というのが大事。
何もしないとどんどん不安に飲み込まれてしまいます。
特に考え込む時間がある時に考えやすいので、あまり暇にならないように生活を調整していくのもよいでしょう。
何をやっても集中できないと感じるかもしれませんが、そのまま日常生活を継続しましょう。
結果的には不安はあるけれど普通に生活できる、ということを学んでいくとよいです。
その他にも最悪のストーリーを考える練習とか、あえて苦手なことにチャレンジするとか方法はありますが、この辺りは専門家のもとですすめた方がよいので、気になる方は相談してみましょう。
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