浦和すずのきクリニックの鈴木です。
強迫症の中でも確認強迫に多いのが「確認したのに記憶に自信がなくて何度も確認してしまう」という現象。
ガスの元栓など戸締りを何度確認しても記憶の自信が持てない人も多いはず。
なぜ記憶に残らないのだろう?
記憶障害になったのではないか?
と疑問を抱いたことはないでしょうか?
強迫症で記憶に自信がないことについての特徴を知っておくことは改善のためにも重要です。
知らないと間違った対策をしてしまうためです。
そこで今回は強迫症と記憶に自信がないことについて解説します。
この記事を読むことで強迫症がなぜ記憶に自信がなくなるのか?改善するためのポイントがわかるので改善のきっかけにしてください。
確認強迫中心で説明しますが、他の強迫症の方にも参考になるはずです。
確認しても記憶に自信がないと「記憶障害になってしまったのでは」と思う人もいるでしょう。
それは違うと考えてよいです。
もし記憶障害ならガスの元栓など自分が気になるもの以外のものでも記憶がなくて困っているはずだから。
強迫症の人は自分が気になっている特定のものだけ記憶がないことが特徴。
不安な状況の度合いが強ければ強いほど記憶がなくなるのではありませんか?
そうなると記憶障害とは言えないでしょう。
記憶障害というよりは「特定の不安場面で記憶に自信がなくなりやすい」と考えた方がよいです。
では、なぜ記憶に自信がなくなるのか?
この理由の一つは「何度も確認するから」が大きな要因と言われています。
普通「記憶に自信がないから何度も確認しているのにどういうこと?」と思いますよね。
強迫症の人に限ったことではないのですが不思議なことに確認する回数が増えると記憶が曖昧になりやすくて、記憶に自信がなくなってくるという現象が起こるのです。
確認強迫の人なら確認回数が増えれば増えるほどちゃんと記憶に残せていない感じがして、いくらやっても自信がないから最後に無理やり確認を終わらせている、という経験があるのではありませんか?
あれです。
この現象は知っておく必要があります。
つまり「記憶に自信がないから確認している」だったのが「確認しているから記憶に自信がなくなってくる」に変わってくるのです。
記憶への自信をもととうすると確認が止められず、どんどん確認に費やす時間が増える結果となります。
しかし、これだけでは済みません。
マズイ対処をしてしまいます。
「記憶に自信がないから自信をもてばよいのだ」と考えはじめるのです。
「自分に自信をもとう、これまで何もなかったらから大丈夫、確認した!ヨシ!ヨシ!」みたいなことをしていませんか?
その結果どうなりましたか?
あまり改善はしていないか、少しよくなっても確認は結構残っているのではありませんか?
「大丈夫」と考えて安心する方法をとると「でも、これまでは大丈夫だったけど、今回は違うかも」という疑問がわいてくるものです。
そうするとまた不安になり大丈夫な理由を探して自信をもとうとしますが自信は持てません。
いくら頭で大丈夫な理由を考えても、強迫症からは大丈夫じゃない理由を反論されるだけなのです。
むしろ大丈夫な理由を厳格にしなければ気がすまなくなり、誰かに確認してもらったり写真や動画を撮って確認したりと、どんどん確認のやり方がエスカレートして強迫症が悪化しかねません。
確認強迫の人は「記憶に自信がもてたら確認が止められるだろう」と考えがちですが、自信をもとうとするための安心する理由を考えたり、行動したりして強迫が悪化しやすくなります。
先ほど確認をすればするほど記憶に自信がなくなると説明しました。
とういことは、確認しない方がマシと言えます。
だから記憶に自信がなくても確認せずにそのままでいましょう。
それで万が一があったらどうするの?と考えるかもしれません。
そこでも頭で何とかしようとせずに「その時に考えよう」として確認せず実行していきましょう。
「その時に考えるんじゃ遅い」という強迫観念から脅しがあるかもしれませんが、そのまま確認しないでおくことが大切です。
このように記憶に自信がなくても確認しない練習をすることで不安に強くなり確認しなくても平気になってくることがわかっています。
認知行動療法というやり方です。
詳細はこちらの記事に書いてあるので参考にしてください。
https://www.heartcompany.co.jp/urawasinri/2023/03/29/post-5519/
確認しないで強迫症がよくなったら記憶に自信がもてるのか?と考えるかもしれませんが、改善された多くの人は記憶に自信がないことを気にしなくなっている印象です。
人間は一つ一つの確認を記憶に自信をもってやってはいません。
結構曖昧にしているのです。
強迫症の人でも自分が気にしていない部分は、記憶に自信がなくても普通に過ごしています。
「今日通過した信号は青信号でわたったか?」
って覚えないですよね。
でも青信号だったかを考えだすと不安になる人もいるかもしれません。
記憶をたどりだすと不安になりやすいです。
だから記憶をたどらず曖昧にしておいた方が楽に過ごせます。
記憶に自信があるかないかにこだわらない生活をしてくのと改善しやすくなります。
確認強迫で確認すればするほど記憶に自信がなくなり確認がやめられなくなります。
しかし確認してはダメとわかっていてもなかなかやめられないものです。
そんな時は難易度の低いところからでもよいので地道にやっていくことが必要。
一人ではなかなかうまくいかないなら認知行動療法の専門家に相談するようにしましょう。
カウンセリング・認知行動療法ご希望の方は浦和すずのきクリニックのホームページをご覧ください。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。