【強迫症】不謹慎な考えが出てくる症状への対処法

浦和すずのきクリニックの鈴木です。

強迫症には不謹慎な考えで悩む症状があります。

・道を歩いていて他人を見たら「殺す」という考え浮かんでくる

・神社にお参りにいったら「バカ」と浮かんでくる

など「考えてはいけない」「考えたくない」ことを、考えたくないタイミングで考えてしまいます。

強迫症ではよくある症状の一つです。

今回はこの症状への対処法について説明します。

練習することで考えに囚われなくなります。

強迫観念と強迫行為と回避を知ろう

まずはこの症状の「強迫観念」と「強迫行為」と「回避」を理解しておきましょう。

理解することでなぜ症状が悪化するのかがわかります。

①強迫観念

強迫観念は浮かんでくる嫌な考えのことです。

・道を歩いている時「殺す」という考え浮かんでくると「自分は殺人者の素質があるのではないか」「将来、誰かを殺してしまうのではないか」と考える

・神社にお参りに行った時「バカ」と浮かんでくると「神様を冒涜してしまい、悪いことが起こってしまうのではないか」と考える

基本的には

・浮かんできてほしくない考え

・浮かんできてほしくないタイミング

で出てきます。

②強迫行為

嫌な考えが浮かんでくると安心するためにやってしまう行動が「強迫行為」です。

・「そんなこと本心から思っていない」と考える

・頭の中で謝る

・自分は(殺人者などの)素質があるかどうかを確認しようと調べる

・考えないように努力する

・「こんなこと考えても(神様などから)罰はないですよね?」と他人に質問する

強迫行為をすると一時的に安心しますが、浮かんでくる毎にやらないと気が済まなくなります。

また完璧な強迫行為をしないとダメになり、例えば頭の中で謝るという強迫行為をしていた時に雑念や音が入るとやり直します。

完璧にできるまで永遠とやり続け動けなくなる人もいます。

一度やったらやめられないという意味では強迫行為は麻薬みたいなものです。

③回避

強迫観念が出てきたり強迫行為に時間がかかったりするのが嫌なので、きっけけとなることを避けようとします。

これが「回避」です。

・神社など苦手な場所に行かない

・苦手な対象を(人など)を見ないようにする

回避をすれば全部解決と思いがちですが、それ以外のところで強迫観念が浮かぶようになり悩む範囲が広がります。

以上のように強迫観念が浮かんできた時に強迫行為をし、強迫観念が浮かぶきっかけを回避することでこの症状は悪化するのです。

改善方法は曝露と反応妨害

この症状を改善するためには回避している場面に直面して不安になることを実際にやってみる「曝露」という不安なことに慣らす練習をします。

例えば神社で「バカ」という考えが浮かんでくるために神社を避けているなら、あえて神社に行って「バカ」と考えるとか。

これを一度に何十回と考えます。

なぜ怖いことをあえてすることが改善するのか?ですが、怖いことを何回も継続してやっていると慣れてくるもなのです。

ジェットコースターが怖い人でも連続して何回も乗っていたらだんだん慣れてくるのと同じ。

「バカと浮かんできてもスルー」というより「あえて考える」というのがポイントです。

曝露をやっていると安心するために「そんなことは本心ではない」「ごめんなさい」など考え強迫行為をしたくなります。

これはしないようにします。

曝露をして不安に慣らす練習をしているのに、強迫行為は逆の安心させることなので逆効果となります。

「一回だけ強迫行為をやるくらいならいいだろう」となると、なかなか改善することはないので注意しましょう。

強迫行為をしないことを「反応妨害」と言います。

「苦手なきっかけに直面」「苦手な考えをあえて思い浮かべ」「強迫行為をしない」の3点セットを同時にしましょう。

これを実践することで不謹慎な言葉浮かんでも怖くなくなるため、言葉が浮かんでくることが減ってきて強迫症が改善していきます。

ポイント

実際にやってみると最初は怖くて仕方ないと思います。

むしろ挑戦する前から

「そんなことをしたら神を冒涜するような人間になるのではないか」

「そんなことをしたら殺人者の素質が高まってしまうのではないか」

と不安になり

「そんなことをしても神様を冒涜するような人間になりませんよね」

「そんなことをしても本当に人を殺してしまうってことはないよね?」

と誰かに確認を求めたくなるかもしれませんがこれは強迫行為なのでやめましょう。

また数日に一回やっただけだと不安に慣れることはありません。

むしろ怖くなるだけです。

一日に何回もやった上で、ハードルを少しずつ上げながら数ヶ月以上は継続して練習しないと改善しないので注意が必要です。

粘り強く練習してください。

まとめ

不謹慎な考えが浮かんで悩んでいる強迫症状については以下のことを実践しましょう。

・あえて避けている場面に直面して怖くなるようなことを考える

・強迫行為をしない

・一度に何回もやり、ハードルを上げながら数ヶ月は継続

自分でやってもうまくいかない時は認知行動療法の専門家のもとで指導を受けながらやってください。

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