浦和すずのきクリニックの鈴木です。
「不安の9割は起こらない」ということが昔から書籍などで言われていますよね。
非常に魅力的な言葉なので不安症の人はこの類の言葉を好きな人が多いのではありませんか?
しかし、それを聞いて「じゃぁ、不安なことは起こらないから大丈夫なんだね」と不安にならなくなったって人はあまりいないと思います。
私もそんな人を見たことがありません。
そこで今回は
・なぜ不安の9割は起こらないから大丈夫と思えないのか?
・どうすればよいのか?
について3つの観点から説明します。
不安で悩んでいる人は参考にしてみてください。
思い出してみてください。
ここ1週間不安に思っていたことは何ですか?
それは実際に起こりましたか?
多分、実際に不安なことが起こっていないことが多いですよね。
下手をすると不安に思っていたことの多くを忘れているのではありませんか?
人は数多くの何も起こってないないことよりも、少数の起こったことを考えやすい傾向があります。
10日のうち9日は元気に過ごしていて、1日だけ悪いことがあったらそっちばかり思い出しますよね。
実際には平和にすごしていたことに意識が向いていないのです。
だから不安なことが起こらないといわれても「でも○○ってことが以前あったし」など考えてなかなか不安から離れらません。
これが不安なことの9割は起こらないといわれても不安がとれない要因の一つです。
対策
対策の一つは過去に自分が不安に思っていたことが本当に起きたのかを検証してみること。
1週間単位でよいので不安に思っていたことを書き出し、実際にどれだけ起こったかを確かめてください。
何も起きなかったことって無視してすごしてますよね。
本当に不安なことが起こっていたのかを振り返ってみると9割どころかもっと不安なことは起きていないことが理解できるようになります。
要するに頭の中で9割は不安なことが起こらないって唱えるのではなく、実際に確かめるのです。
また本当に不安なことが起こった場合でも、そのあとどうなったかを検証してみください。
不安なことが起こっても何とかなっているものなのです。
例えば「仕事でミスして、怒られれてクビになる」と考えていたとします。
不安に思っていた通り仕事でミスして指摘はされたけれど、それ以上のことは何も起こらずやり過ごせて最悪な事態になっていない、とか。
不安なことがあっても乗り越えられた経験があったり、最悪のことにはならないことが意識できるようになると「何とかなるか」と思って不安にとらわれにくくなります。
さらに不安なことが実際起こった時にどのようにすることが役に立ったかを振り返ってみるのがオススメです。
例えば仕事でわからないことがあった時に上司に質問したら「こんなこともわからないのか!と怒られる」と考えている場合。
勇気をふりしぼって上司に質問したら怒らず普通に答えてくれたとします。
この時「自分の不安は当たっていなかった」と思えたらよいのですが人によっては「上司は心の中では自分のことを呆れているに違いない」と考えてしまっていることがあります。
これは実際に起こったことよりも、自分が不安に思っていた思考に囚われているためです。
人の心の中を予想して「そうに違いない」という考え方のクセが影響しています。
こうなると不安なことは起こらないとは思えません。
対策
このような場合は自分の考えていることは妥当かどうかを検討してみるとよいです。
「心の中で呆れているに違いない」というのが本当かどうかもっと考えてみましょう。
以下の質問をしてみるとよいです。
・呆れているという根拠はあるの?具体的には?
・その根拠が完全には合っていないと思えることはない?
・その考えは100%合っているの?99%合っているというなら残りの1%はどんな可能性がありそう?
・いろんな解釈の仕方があるけれど、この状況でどの考えが今後気持ちが楽になれそう?
よくよく考えてみると「上司に呆れられている」という自分の考えは根拠としては乏しいし、そんな風に考えてもよいことがないなぁ、と客観的に考えられて不安が下がることがあります。
いろんな角度から自分の考えを検討してみるとよいです。
上記の2つの対策をしていくと、だいたいは次の問題にぶち当たるものです。
「これまで実際に不安なことが起こったことはないし、起こっても何とかなった。でもこの先は不安なことが起こるかもしれないし、何とかならないかもしれない」
と考えていませんか?
例えば、ホクロをみたらガンではないかと不安で病院に行ったとします。
病院で検査して異常はなかった。
しかし
「これまで検査をしても大丈夫だったけれど、今回こそは医者が検査の判断ミスをしていたかも」
「ガンになっていたらまずいから、もう一度検査をするか他の病院に行くかして、早く対処しないとダメだ」
と不安になり、安心するために何度も検査したり病院変えたりすることが止められません。
このように考えるのは不安なことが起こる可能性が少しでもあることが受け入れられないことが要因の一つ。
上記の例でいえば医師がミスを犯さない可能性はゼロにはできません。
「ニュースでも医者がミスしたってのをやっていたし」
と自分の不安を肯定する情報を集めてしまいます。
可能性がゼロにならない限り心配したり、不安への対処することばかり考えるのです。
不安なことが絶対に起きないということは理屈の上では証明できません。
だから、不安なことが起こる可能性をゼロにしようとすると永遠に不安にとらわれてしまいます。
対策
不安なことに対していろいろ理屈で考えたとしても、最終的には「受けれいる」ということが必要です。
不安なことが起こる可能性は受け入れながら生活していくのです。
受け入れるというのは過度に不安に対処しようとはせずに、現実の生活を送ることです。
みんなすでにやっています。
例えば、車や電車に乗るっているのも事故が起こる可能性を受け入れて生活していますよね。
散歩していても何かの事故に巻き込まれること、地震など自然災害が起こってどうにかなってしまうこともそうです。
不安なことが起こる可能性を理解していながらあれこれ対処せず、普通に日常生活を送っています。
受け入れるってそんな感じのことなのです。
「ホクロがガンかもしれないと考えているんだな」とか不安な考えはそのままにしておきましょう。
病院にいったり、ネットで調べたり、誰かに確認したり対処しようとせず、そのままにして日常生活を送るようにしてみてください。
白黒ハッキリせずにそのままでいるようなイメージです。
「本当に大丈夫か」「ずっと不安なままでは」と考えるかもしれませんが、その不安もそのままにしましょう。
数日やっただけではどうこう改善している変化は感じられないかもしれませんが、何ヶ月も継続していくことで不安とうまく付き合いながら、とらわれずにいられるようになってきます。
不安なことの9割起きないと考えても不安な人は以下の3つをやってみてください。
・不安なことが起こらなかったことを見てみる
・自分の考えていることは本当かを検証してみる
・不安を受け入れる
うまくいかない時は相談に来てくださいね。
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