浦和すずのきクリニックの鈴木です。
コロナウィルスが不安で
・手洗いや消毒を必要以上にしている
・どこにも出かけられなくなった
こんな人はいませんか?
もしかしたら「強迫症」の「疾病恐怖」「感染恐怖」かもしれません。
強迫症はきちんと治療すれば改善する病気です。
私のもとにも、コロナで手洗いが増え悩んでいる人がたくさん相談に来ますが、きちんと練習することで改善しています。
今回はコロナで手洗いや消毒が増えている強迫症の人が気を付けるべき5つのことについて説明します。
まずはどのようにして強迫症になっていくのか、悪化するのかを説明します。
強迫症は「ウィルスがついて死んでしまうかも」など不安な考えがよぎります。
この考えが「強迫観念」です。
不安になるので手洗いや消毒をします。これが「強迫行為」です。
一回の短い手洗いなどで済むならよいのですが強迫症の場合は、どんどん手洗いの時間や頻度が増えていきます。
たくさん手洗いしても「ウィルスが落ちている感じがしない」と不安になります。
そうするとさらに手洗いをしないと気が済まなくなるのです。
手洗いだけでなく、外から入ってきたものを徹底的に消毒しようとします。
帰宅したらすぐに手洗い、シャワーを浴びて着替えないと自宅に入れない、ベッドに行く前は不安なものには触れない、など自宅などにキレイ場所(これを聖域といいます)を作ります。
「キレイ」と「汚い」をわけ生活が不自由になります。
キレイな場所には不安なものを持ち込ませないようにして、さらにそれを家族にも強要するようになります。
そうすることで家族と摩擦が生まれ、もっと悩むようになるのです。
外に出ることも億劫になり、楽しいこともなくなるので気分も落ち込みやすいです。
こんな風に最初は「手洗いをして気を付けよう」程度であったのが、エスカレートして生活に支障が出てくるのが強迫症の特徴です。
では、どのようにしていけばよいのでしょうか?
気を付けるべき5つのことについて説明します。
帰宅後に手洗いをするのはコロナについては今のところOKになっています。
これまでは疫病恐怖では帰宅後の手洗いはNGのことが多かったです。
帰宅したあとに手洗いせずに自宅のものをベタベタ触る、というのを普通にやっていました。
これはコロナが危険というよりもきちんとわかっていないところがあるという意味で手洗いOKと考えています。
これから変わってくる可能性はあります。
ただし、手洗いの時間は石鹸も含め20~30秒以内です。
それ以上やっている人はやめましょう。
強迫症状がひどくなるだけでなく、肌があれて本当に感染しやすくなってきます。
「きちんと洗えていないかも」と感じる程度でやめておくのがコツ。
不安になるかもしれませんが、それに慣れると不安は感じなくなります。
手洗いを短くすればよいとならないようにしましょう。
自宅にいて何か触るたびに手洗いをしているなら明らかに過剰です。
「ウィルスがついているかも」という不安にも慣れていきましょう。
外から持ってきたものを全て消毒しなくては家の中に入れられない、というのはやめましょう。
食物、郵便物、宅配便、洋服、バッグなど、すべて消毒しないとダメになっていませんか?
キレイな場所と、汚いものを置く場所にわけていませんか?
こんなことをしていると、どんどん強迫症が悪化する元となります。
一部のマスコミで外からのものは全て消毒!みたいな情報が流れていますが、それは問題があります。
極端な情報が流れ「万が一」の恐怖をあおっていますが、そのような情報をうのみにするのはやめましょう。
コロナが不安で強迫症になると外出が恐怖になります。
外にあるものに触れるのが怖くてたまらないでしょう。
しかし、そのような生活をしていると不安はさらに強くなります。
避ければ避けるほど不安は強くなる性質があるからです。
また外出しないでいると楽しみが少なくなり、引きこもるようになると気分が落ち込みやすいです。
落ち込むとさらに不安なことを考えやすくなる悪循環になります。
ですから適度な外出はするようにこころがけましょう。
外出した時も必要以上の消毒には気を付けましょう。
全ての場所を消毒しないと触れない、触ったら必ず消毒ではどんどん悪化します。
ある程度の対策はしながらも、買い物や娯楽などなどを普通の生活をこころがけていきましょう。
コロナの情報ばかり集めると、不安なことを考える時間が増えるのと同じです。
不安な時は楽観的な情報ではなく、悲観的な情報ばかりに目がいきます。
マスコミもそのような情報ばかりが流すことが多いです。
だいたい不安な時に情報収集するとさらに悪化しませんか?
このため一日5分以上の情報収集はやめましょう。
人によっては数日に一回程度でもよいかもしれません。
また消毒などについていろんな情報がありますが、基本的には一般の人用の情報です。
強迫症など不安が強い人が全て真に受けると、症状が悪化するだけになります。
情報収集は制限すること、マスコミなどので影響を受けすぎず自分の病気にあった対策を考えていくことが大切です。
どんなに対策しても感染するときは感染します。
強迫症の人は「感染したら、あの時に消毒しなかったせいだ、と後悔しそう」と考えるかもしれません。
また加害的に考える人は周囲の人が感染したら「自分が感染させてしまったのでは」と不安に思うでしょう。
そのように考えるとやっぱり手洗いや消毒をする生活をしたくなるかもしれません。
しかし「それは強迫がそう思わせている」と考えてください。
強迫は「完璧に安心」を求めさせようとするものなのです。
日常生活で私たちはある程度のリスクを引き受けながら生活しています。
例えば車に乗るにしても事故の心配がありますがみんな乗っています。
事故は完璧には防げないことを受け入れ生活をしているものです。
コロナを完璧に防ごうとしても無理ですし、考え得る完璧を目指そうとしても生活は破綻してしまいます。
強迫の「完璧」を求める考えに従わず、現実的な対処をしましょう。
以上のことを気を付けようと思ってもなかなか実行できない、うまくいかない、疑問点が多いという人は、専門家の指示を受けながら改善しましょう。
強迫症には認知行動療法が最も有効であるとされていますので、認知行動療法の専門家に相談しにいくことをおすすめします。
コロナが不安で手洗いや消毒が増えても、きちんと治療すれば改善はしていくものです。
困っている人は早めに相談してください。
カウンセリング・認知行動療法ご希望の方は浦和すずのきクリニックのホームページをご覧ください。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。