浦和すずのきクリニックの鈴木です。
他人との食事場面で緊張して食べられなくなってしまう「会食恐怖症」があります。
社交不安症の一つの症状です。
無理やり食事を頑張って食べようとしてもなかなか改善されないです。
ポイントをおさえておく必要があります。
ポイントの一つは会食恐怖症の人でよくある「他人の前で食べ物を残したら否定的に思われるのではないか?」という考えについての対処法。
多くの人に見られます。
この辺りの対処を知っておくと食事が楽になりやすいです。
そこで今回は会食恐怖症で「他人の前で食べ物を残したら否定的に思われる」と考えている人がどのように克服していったらよいか?について解説します。
会食恐怖症を改善するきっかけになるし、社交不安症の改善の基礎なので知っておくと便利ですよ。
なぜ他人の前で食べ物を残したら否定的に思われるか?ですが、多くの人が学校での給食や家庭での食事のしつけなどで「残してはいけない」と言わたことがきっかけになっています。
原因というよりはきっかけですね。
原因ならば日本人のほとんどの人が会食恐怖症になっているハズなので。
会食恐怖症の人は過去の経験から必要以上に「食事を残してはいけない」「残したら他人から否定的に思われる」という思考に縛られいる傾向があります。
食べようとすればするほど「残してはいけない」という考えが強くなり、緊張するようになります。
緊張すればするほど「残してはいけない」という考えが強くなりさらに緊張する悪循環。
こうなると食べるという行動ができなくなり、動きがピタッと止まってしまいます。
一度、苦手意識がつくと他人と食事が決まった時点で「食べられなかったらどうしよう」と考えます(これを予期不安といいます)。
食事までの期間予期不安で憂鬱になりますよね。
食事にいっても「残したらダメだ」と考えにとらわれ、食べたいものより食べられるものを選ぶなどして「他人から変に思われないようする」ことばかりで頭がいっぱいになります。
もちろん食事をして楽しくはないのでどっと疲れます。
疲れるからもう誰かと食事になんていきたくない!と考えて食事を回避するようになります。
不安は回避をすればするほど強くなる性質があるので、もっと食事が怖くなり症状がひどくなるのです。
こうして「会食恐怖症」になっていきます。
食事場面を回避していれば不安は強くなるのだから逃げずに他人と食事をすることが必要となります。
少しずつ食事の練習をして慣れていくという方法は間違いではありません。
それで改善する人もいます。
しかし、無理やり食事をして完食できたとしてもつらい経験が残るだけだったりします。
なぜなら「食事を残したら他人から否定的に思われる」という考えはそのままだからです。
会食恐怖症の人は
・他人から否定的に思われると考えている
・否定的に思われることは致命的だと考えている
・故に否定的に思われないように気になることを隠そうとする(回避する、人にさとられないようにする)
この3点が特徴です。
この3点を変化させないと食恐怖症は改善が難しいです。
ではどうしたらよいのか?
「人なんて気にしてないよ。自分らしくしよう」と言い聞かせたところでうまくいかないです。
不安は頭では納得してくれません。
頭ではなく体験して理解する必要があります。
そのためには次の4つのステップをふんで食事場面に挑戦してみましょう。
会食恐怖症の人が恐れていることは色々ですが、今回は「食事を残したら他人から否定的に思われる」を例にします。
食事を残したら他人はどのような反応をするか考えて、実際にそのようになる確率を予想しましょう。0%(そんなことは起こらない)~100%(絶対起こる)で考えてください。
他人はどのような反応をするか?については「自分のことを不快に思っている」「変だと思っている」など心の中を読むようなことダメ。
見えるもの聞こえるもの、など客観的に判断できるものにします。
「相手は不快に思っている」というなら不快に思っている証拠は何か?と考えるとよいです。
「急に無口になる」「口をきいてもらえなくなる」「二度と食事に誘われない」「怒られる」90%とか。
実際にやってみて②で考えた予想がどうなったかを観察します。
この結果も見えたこと聞こえたことなど客観的なものに限定します。
「変に思われたに違いない」はダメですよ。
例
「食べないの?と言われただけで後は普通に会話が続いた」など
③の結果から何がいえるのか、「食事を残したら否定的に思われる」という考えの確信度は0~100でどうなったか、今回のことからではわからなかった疑問点を振り返りましょう。
例
食事を残しても他人はそれほど気にしていないのかもしれない。
でも今回は仲の良い友人だったからかも。
別の人で試してみよう。
60%
以上の4つのステップを繰り返しやっていくとだんだん「食事を残しても否定的におもっていないかも」と考えられるようなり、食事をするのが楽になりやすいです。
しかし、ここで疑問が残るかもしれません。
「食事の時の相手は表面的には普通に振る舞っているけれど、心の中ではそうおもってはいないのでは」と。
確かに上記の方法では心の中を読むようなことはやめてもらっていたのでそう思うのも無理がありません。
そんな時は、自分が信頼できる数人に「食事を残している人をみたらどう思う?」と聞いてみましょう。
聞く前に「10人中9人は不快だというに違いない」と予想しておくとよいです。
それで実際数人に聞いてみて、その結果から何がいえるかまとめてみるとよいです。
例
10人に聞いたが「お腹いっぱいなのかな」「食欲ないのかな」くらいで否定的に思う人はいなかった
結果がどうなるかはわかりませんが、何人もやってみると自分の考え方も変わってくることが多いですよ。
会食恐怖症で「食事を残したら他人から否定的に思われる」と考えている人のやり方を書きましたが、他の不安な考えも上記のやり方を当てはめれば大丈夫。
社交不安症全般的に使えるので実践してみてください。
「自分の場合どうしたらよいのか」「うまくいかなないなぁ」と思ったらカウンセリングで相談してくださいね。
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