浦和すずのきクリニックの鈴木です。
パニック症の人でカウンセリングを受けて改善した人がどのような気持ちで治療をしていたか知るのは役に立ちます。
パニックを克服するためのコツがわかるから。
今回はパニック症(障害)で乗り物全般がダメだった人が、飛行機で海外旅行に行けるようになった事例を通して、パニックを克服する3つのコツを紹介します。
※ご本人にはブログ掲載の許可を得ていますが、プライバシー保護のため一部修正して紹介しています。
Bさんは電車に乗っている時に過呼吸になり、それから電車にのるのが苦手になりました。
車、新幹線、会議など苦手な場所は広がっていきます。
ストレスがかかると過呼吸が起こるようになり、自宅でも出現するようになりました。
病院で薬が処方されましたがなかなかよくなりません。
困り果てたBさんでしたが、パニック症には認知行動療法が有効であることをしって、カウンセリングを希望されました。
カウンセリングでは、過呼吸への対応をお話したあと、苦手な場面に取り組んでいく計画をたてました。
これまで電車では携帯電話をみてごまかしながらのり、快速電車は不安だったので普通列車にのっていました。
これらの行動をすることで一時的な安心が得られても不安が続いてしまうことを説明し、少しずつ快速電車に携帯電話みずに乗ることをやってもらいました。
実際にやってみると息苦しさはあったものの、やり過ごすことができることを経験。その後も苦しさはあったものの、電車や車にのって遠出をしたりできるようになりました。
「不安のピークが過ぎると落ち着いてくるのがわかった。何度か繰り返せばいいかもしれない」とお話しされています。
しかし、ストレスがかかったことをきっかけに強い発作が起こり電車に乗ることが怖くなってしまいました。
それでも少しずつ電車などに乗り訓練していくことで、再び電車に乗れるようになりました。
一人で電車で遠出をしたり、新幹線で旅行にいったりできるようになります。さらにジェットコースターなど拘束されるいやな場面も大丈夫になってきました。
その後、海外旅行に行きたいと思うようになりました。
飛行機はまだ挑戦していないので怖いと感じており、海外でバスツアーがもあり不安が多々あります。
フリスクをもって安心させようかと思っていたらいしいのですが、私と話し合いフリスクなど安心させるようなものは持っていかずそのまま海外旅行にいくことに。
旅行当日、アクシデントがあり時間になっても飛行機が飛ばず不安が強くなりました。
そこを我慢して乗り切り、飛び立つと大丈夫だったそうです。
現地ではバスツアーも楽しむことができました。
「飛行機はこわかったけれど、それ以上に旅行が楽しかった。また行きたい」とお話しされていました。
それから時々息苦しさがあったとしても、気にならず日常生活が送ることできるようになり、元気に過ごしているようです。
Bさんの事例を見てきました。
乗り物全般ダメだったBさんが飛行機に乗れるようになった改善のポイントは3つあります。
・不安を受け入れることができた
・コツコツと練習を続けた
・自信がなくても思い切ってやってみた
それぞれ解説します。
当初Bさんは電車に乗れたとしても「息苦しさがあるからダメだ」と考えていました。
パニックの人によくあることなのですが「症状がでなかったら成功。出たら失敗」としがち。
それではうまくいきません。
息苦しさがあってはいけないと考えると、ちょっとした呼吸の変化に敏感になり、息苦しさに注意が向き悪化します。
危険でない息苦しさの症状に対して「危険だ」と考えて怖くなるのがパニック。
息苦しさや動悸があってもそれは危険ではなく、やり過ごせることを経験して学習することでパニックへの怖さが減ってきます。
ですから息苦しさをやり過ごせる経験こそパニックにつながるのでむしろ息苦しさはウェルカムの姿勢で待ち構えるのがよいのです。
Bさんは練習をしていくうちに徐々に「不安や息苦しさはあるけれどやり過ごせたし、目的地まではいけて楽しかった」とお話しされています。
症状が出ることを受け入れることで、逆に症状が気にならなくなったのでしょう。
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途中、悪化してしまうことがありました。
せっかく電車に乗れるようになったし、症状をやり過ごせるようになったと思っても、再度怖くなってしまうことがあります。
ここで「振り出しにもどった」とがっかりする人もいます。
しかし、一度改善した症状がぶり返すのはよくあること。
Bさんはあきらめずに電車に再度乗るなどチャンレンジを継続できたことが改善につながっています。
症状は一直線にはよくなりません。
あせらずに地道に練習していくことが大切です。
パニックの人にとって飛行機は一番怖いものの一つに挙げられます。
逃げられませんからね。
Bさんの場合も、電車が平気になっていても飛行機は怖いと思っていて、乗れる自信があったわけではなかったそうです。
さらに当日なかなか飛ばないというアクシデントもありました。
それでも挑戦してやってみたら自信がつきました。
100%の自信でなくてもよいのです。
自信は行動する前に出てくるものではありません。
行動して良い経験をしたから自信がついてくるのです。
飛行機は出発する前までが一番怖いです。
逆に乗ってしまえばジタバタしてもしょうがないので、落ちつくもの。
余計なことをしなければですが。
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海外旅行だと7~8時間とかかかることが多いので、それくらい時間があれば怖さがずっと続かないことを経験できます。
アクシデントがあってもその場で対応できることが経験できると自信がつきます。
100%の自信がなくても飛び込んでみる、何かトラブルがあればその時に考えるようにすることでよい結果となりやすいでしょう。
パニックの人が飛行機に乗ったときのポイントはこちらに書いています
Bさんの事例を通して、パニックを改善するコツについて説明しました。
パニックを改善された多くの方が「飛行機で海外旅行に行けてよかった」とおっしゃっています。
「本当は飛行機に乗って行ってみたいところがたくさんある!」って人は、パニックを克服するために一歩踏み出しましょう!
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