不潔恐怖症の克服の流れを事例を通して説明します

浦和すずのきクリニックの鈴木です。

今回は強迫症(強迫性障害)の中の不潔恐怖が改善した事例について紹介します。

強迫症(強迫性障害)の中でも不潔恐怖は日本人に多いといわれています。

何時間も手洗いや入浴したり、触れるところが限定されるなど支障をきたします。

不潔恐怖は認知行動療法をやることで早く改善する可能性があります。

決して楽ではありませんが、実践することで症状は軽くなります。

といっても、実際にどんな感じですすめて、改善しているのかイメージがわかない人もいるでしょう。

このような時は実際の事例を知ることが一番。

そこで今回は不潔恐怖で悩んでいる方が改善した事例について紹介します。

※事例のご本人にはブログ掲載の許可は得ていますが、プライバシー保護のため内容を変更・簡略化しています。

 事例紹介

Aさん

学生の頃からなんとなく汚いと感じたものを触った都度手洗いをするようになりました。 次第に学校で何かを触るたびに手洗いをするようになっていきます。 自宅では外出した後の服、バッグを汚く思うようになり、「汚いものを置く場所」を作るようになりました。 自宅でリモコンを触る、家族に触るだけでも汚く感じるようなります。

入浴時間は数時間に及ぶようになってきました。 自分の部屋は入浴後でなければ入れなくなっていきます。

精神科を受診しましたが薬は使用せず、認知行動療法を希望して来談されました。

1回目のカウンセリング

困っている症状が何でいつから困っているか?などこれまでの経過をお伺いしました。

そのあと強迫性障害がなぜひどくなってきたのか、どうすればよくなるのかを説明しました。 行動療法をやっていきたいというAさんの思いが確かめられました。

どのようなことが不安になっているか、どのような強迫行為をしているか理解するため、不安場面のリストアップをしてもらうことにしました。

2回目のカウンセリング

早いうちに治したいというご本人の希望がありました。

通常はハードルの低いところから徐々にはじめていくことが多いのですが、短期間でハードルの高いところを挑戦する方法を選択しました。

こうすることで苦痛度は大きいのですが、早い改善が見込まれます。

話し合いの結果、3日間手洗いや入浴も含めて水に触れないこと、リストアップしてきた汚いものに触り、キレイにしておきたい場所に広げていくことを実行してみることとなりました。

3回目のカウンセリング

前回のカウンセリング後、電車の床に置いたバッグをベッドの枕もとにおいて寝たそうです。 初日は不安が強くて眠れなかったのですが、徹底的に汚いとおもっていたものにさわり、ベッドやきれいにしておきたい場所などに汚れを広げていった結果、3日目くらいからは楽になってきたことが報告されました。

4回目のカウンセリング

継続して実践していった結果、ほとんどの苦手な場面はなくなってきました。 時々不安になることはありますが生活に支障がなくなってきたため、しばらく様子をみることとなりました。

 5回目のカウンセリング

3ヵ月後、Aさんは悪化せずに元気に過ごしているとのことでした。 強迫性障害の重症度を測る検査でも問題ないレベルにまでなっていたためカウンセリングは終了となりました。

一般的な認知行動療法の流れはもう少しゆっくりです

Aさんのケースは比較的早く改善したケースです。

私のところにきたら「一ヵ月でみんなよくなるんだ!」と誤解しないでくださいね。

多くの人は少なくとも3~6ヵ月程度はかかります。

Aさんの場合、2回目あたりで何をどうするか話し合いましたが、通常は1~4回くらいはこの間になぜ強迫が悪化するのか、どうすればよくなるのか理解してもらい、どんな時にどんな強迫が出ているかを把握することに時間を使うことが多いです。

そして、心の準備が整えば不安に挑戦していくことになります。

以降は、不安に挑戦してどうったかをカウンセラーに報告してもらい、問題点があれば話し合い、日常生活で実践することを検討していく、というのがカウンセリングの流れです。

Aさんのように最初から認知行動療法のモチベーションが高くて早くよくしていきたい場合、2回目くらいの時に何をすればよいか話し合い、実践してもらうことで短期間で日常生活に支障がない程度までになれる人もいます。

今回は「3日間手も洗わず、風呂にも入らず、苦手なものに触る」という方法をやりましたが、必ずしもそのようなことをやる必要はありません。

自分が苦手なところに少しずつ挑戦していくやり方が普通。

時間はその分かかりますが、やりやすいので大多数の人にはそちらがおススメです。

 まとめ

Aさんの事例を通して不潔強迫系の人の認知行動療法の流れをご説明しました。

早く改善した事例で一般的ではありませんが、流れは同じような感じです。

不潔強迫は実践すればとってもよくなります。

特に「薬以外の方法で治したい」って思っている人は認知行動療法を受けることをおススメします。

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