浦和すずのきクリニックの鈴木です。
縁起の悪いことが頭から離れない強迫症の一種、「縁起強迫」というものがあります。
こんな症状で悩んでいませんか?
・「4」「死」など苦手な文字や数字を避ける
・「○○しないと悪いことが起こるのでは?」と考え、特定の行動を繰り返す
・縁起の悪いことが頭に浮かんだら「良いイメージ」を思い浮かべ打ち消そうとする
縁起をかつぐことは誰でもありますが、いきすぎて日常生活に支障が出てくると治療が必要となります。
治療は薬か認知行動療法が有効であることが実証されています。
特に認知行動療法はもっとも治療成績が良いです。
今回は、縁起強迫をどのようにして治していけばよいか、認知行動療法やり方をもとに説明していきます。
縁起強迫が楽になっていくのでぜひ実践してください。
まず縁起強迫がなぜ悪化していくのか?メカニズムを理解しましょう。
「死」という文字が苦手だなと思ったとします。
「死の文字を見たら、悪いことが起こるような気がする」と考えます。
嫌なイメージ、ルール、考えを「強迫観念」と言います。
強迫観念の通りになるのが不安なので、それを避けたり打ち消そうします。
これを「強迫行為」と言います。
強迫行為の例はこちら。
・「死」の文字を見たら、「生」の文字を見る
・「死のイメージ」が頭に浮かんだら、「良いイメージ」を思い浮かべる
・「死」が浮かんだら、その時にやっていた行動をやり直す
強迫行為をやると一時的に安心します。
しかし、次第に強迫行為をやってもやっても不安になり、やめられなくなります。
「きちんと良いイメージが思い浮かべられないからダメ」
「雑音が入ったら、やり直し」
など、強迫行為をきっちりやらないとダメとなるのです。
「3回だけ強迫行為をやってやめよう」とすれば「3回目できちんとできないとやり直し」となることも。
3回やってだめなら、6回。それがダメなら9回、12回と倍数で増えることもあります。
これは不安は避ければ避けるほど強くなる性質があるから。
次第に「死」の文字から「4」が結びつき、数字も怖くなります。
怖いニュースや喪服など死をイメージすることが怖くなるかもしれません。
最初は「死」の文字が怖かっただけなのに、どんどん怖い対象が広がって日常生活に支障をきたすようになります。
このように不安な考えに対して強迫行為をすることで、どんどん悪化していくのが縁起強迫のメカニズムなのです。
縁起強迫の治し方の基本は「縁起の悪い考えが浮かんできたときの不安感に強くなること」。
これまで「死」など不安な考えが出た時に「良いイメージ」など強迫行為をすることで安心させてきましたよね。
しかし、強迫行為はやればやるほど「何か悪いことがおこるのでは」という考えに対して敏感になり、ちょっとした不安でも耐えきれなくなります。
これを改善するために悪い考えが湧き上がっても不安に耐えられるトレーニングをしていきます。
あえて不安が強くなるようなことをして、不安に慣らすのです。
その手順を説明します。
自分が避けているものをリストアップしてみましょう。
例
・「死」という文字
・数字の4
・殺人事件など悪いニュース
・喪服を着ている人
・斎場
・死ぬことに関するイメージ
リストアップしたら、避けているものにあえて挑戦します。
そうすることで苦手なものを避けなくても平気になってくるのです。
「死」について克服することを例にします。
「死」で苦手なことを具体的に考えて下さい。
おそらく見たり、聞いたり、話したり、書いたり、思い浮かべたりすることではありませんか?
その苦手なことをあえてしていくのです。
「死」を書くのが苦手なら、あえて何十個と書く。
見るのが嫌なら、スマホの待ち受けを「死」の文字にしたり、テレビの前、トイレ、寝床に「死」という文字をはる。
話すのが苦手なら、何十回と口に出す。
思い浮かべるのが苦手なら20分間、死だけについて考える。
当然「何も起こらないから大丈夫」と考えたり、その時やっていたことをやり直すなど、安心させるようなことをやっていけません。
不安に慣らす筋トレと同じなので、負荷をかけていくようにこころがけましょう。
これを毎日やります。
最初は不安で仕方ないかもしれません。
しかし、何度もやっているとそれほど不安にはならなくなってきます。
慣れてきたら他の課題もどのようにするのが苦手か考えて同じように練習します。
難しい課題ができないと感じる時は、無理をせず「不安だけど出来そうかな」くらいから始めましょう。
慣れていくうちに難しい課題も出来そうに思えるようになることもあります。
どう挑戦していったらよいかですがコツがあります。
不安なことに対して以下のことをするのが苦手な人が多いのです。
・見る
・聞く
・話す
・書く
・思い浮かべる
・状況、場所に行く
これらのことをあえてやるようにしましょう。
例
・怖いニュースが苦手なら何度もみる、思い出す
・喪服が苦手なら喪服の人がいそうな場所にあえていくようにする
出来るだけ毎日練習することをおススメします。
筋トレと同じで、不安に慣らすためにはコツコツとやらなくてはいけません。
ただ、コツコツ続けるのがとっても難しいところ。
練習を継続するためのコツはルーティンにしていくこと。
「気分がのったらやる」など気分でやるやらないを決めると「疲れた」「忙しい」など練習しない言い訳をしてやらなくなります。
このため毎日決まった時間に練習をする!と決めてやりましょう。
毎日やる!と決めても続けるのは難しいもの。
こんな時はご褒美をやるのも手。
「2週間やれたら焼き肉を食べに行く!」などご褒美を用意するとやる気が出てくるかもしれません。
幼児の勉強でよくやるような「できたよシール」みたいに、カレンダー等にやれた日に印をつけて「○回できたらご褒美」など工夫してましょう。
縁起強迫の人は「あえて縁起の悪いことをする」のが基本。
紹介した方法を毎日練習をすることで改善していきます。
実際に改善された方の事例も記事にしているので是非見てください。
30年強迫性障害で悩んだけれど1ヶ月で改善!本人にインタビューしました!
やり方がわからない、一人では続かない!って人はカウンセリングに来てくださいね。
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