浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
今回は30年間悩んでいた強迫性障害の方が認知行動療法をやることで短期間で改善した事例を紹介します。
改善した人の話を聞くのはとても重要です。
強迫性障害の人にとって、認知行動療法が有効なのは知っていてもなかなか一歩踏み出せない人が多いです。
そこで実際に認知行動療法をやって良くなっ人の話を聞くことで、「やってみよう」というモチベーションが高まるでしょう。
またよくあるこのような疑問も少しは解消されます。
「本当によくなるの?」
「実際のところどんなことするの?」
「やっみてどうだったの?」
ご本人の好意で事例とインタビューを載せられることになりました。
強迫性障害の方は是非ご覧になってください。
今回、インタビューに答えていただいたのはAさん。
Aさんは、子ども頃から嫌いな人のイメージが浮かぶと
「自分もその人のようになってしまうのでは?」
殺人などのニュースを聞くと「自分や家族がそのようになってしまうのでは」
と考えるようになりました。
考えが浮かんでくると打ち消すために、手を洗ったり、その時やっていたことをやり直したり、打消しの言葉をしっくりくるまで頭の中で繰り返していました。
やり直している最中に、誰かに話しかけらたり、雑音がはいると、さらにやり直すことを繰り返したそうです。
受験勉強の時はとっても大変でしたが、それでもごまかしながらなんとかやってきました。
社会人なり、仕事や楽しいことをしようとしているときに嫌な人やイメージが頭に思い浮かび「仕事や楽しいことが台無しなってしまう」と考えるようになりました。
すると仕事や楽しみを中断して、やり直しや打消しの言葉をしっくりくるまで繰り返し、止められなくなりました。
一日中、そんなことをやっているで仕事も楽しいこともできなくなり、疲れ果てていきます。
治し方の情報を集めて強迫性障害かなと思い、自力で治そうとしましたがうまくいきませんでした。
そんな時に私のもとに相談にこられました。
症状が出てから30年くらい経っていました。
薬は希望しなかったため、私と一緒にカウンセリングで治療することになりました。
カウンセリングでは以下のことをやりました。
・わざと嫌な人やイメージを思い浮かべる
・やっていた行動のやり直しをしない
・打消しの言葉を頭の中で言わない
Aさんにとってはこれまで避けていたことをあえてやるワケですから大変だったと思います。
一般的には少しずつ練習していくのですが、30年も悩み「もう一気に治したい」と思ったAさんは、思いきってつらいことを最初からどんどんやっていきました。
約一ヶ月後には症状に悩むことが激減して、仕事や遊びなど日常生活に支障がないレベルまでなりました。
カウンセリングを終えることになっため、Aさんに少しだけインタビューしました。
―どうしてカウンセリングを受けようと思いました?
Aさん:(病気と治療法の)知識はあったのに踏ん切りがつかなかったんです。曝露(不安なことに挑戦)したらおかしくなって耐えられるのかなって。
「そんなことできたら苦労はない」ってやつやるじゃないですか。だから病院にいってカウンセラーのもとでやっていこうって決めてました。
―同じ症状の人は「どうやって怖いことに挑戦できたんですか?」「勇気を出すコツは?」って聞きたい人が多いのですがどうですか?
Aさん:やらざるを得ない状況になったんで(笑)やると決心して踏み出しました。
自分ひとりじゃないって思ったんですよ。
こういうことって誰にも言えないじゃないですか。
言えるだけでも少し楽になった部分があります。
苦しいけれど一緒にやろうって人がいると違うと思いました。
―治療してどうでした?
Aさん:自由にいろんなことができる時間が増えました。
これまで一日の大部分が強迫に時間とられてましたから。
もっと早く治療すればよかったって思いますね。
Aさんはかなり早くに改善された方です。
30年近く悩んでいたので「もうやるしかない」って思っており、実行する覚悟があったからでしょう。
毎週カウンセリングにきてましたし、カウンセリング外でも毎日練習されていたようです。
実際のところ今回のAさんのように1ヶ月で改善する事例よりは、コツコツと数ヶ月かけて改善していく人の方が多いです。
しかし、Aさんのように覚悟があれば早くよくなることもあります。
認知行動療法で良くしていきたい!って方は、一歩踏み出してはどうでしょうか。
Aさんのような症状の治し方はこちらに書いているので参考にしてください。
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