浦和すずのきクリニックの鈴木です。
不潔強迫の人は帰宅する時にたくさんの強迫行為をしています。
「外の汚いものを家の中に持ち込みたくない」という類のことが中心です。
手洗いや、着替えをしないと自宅に入れない人はいませんか?
不潔強迫は手洗いを短くしようとするだけではあまり改善しません。
克服のためには、帰宅時にやってしまう強迫行為をやめていくことが必要です。
また強迫行為をやめるだけではうまくいきません。
そのあとにもやるべきことがあります。
そこで今回は不潔強迫の人がよくやっている、帰宅したときの強迫行為についての説明と、改善のコツについて説明します。
不潔強迫で悩んでいる方は参考にしてください。
今回は帰宅時にやってしまう、6つの強迫行為について説明します。
思い当たる方はチェックしてください。
1 帰宅した後の手洗い
帰宅後の手洗いをやめられない人は多いです。
「帰宅後の手洗いはみんなやっているし、強迫行為ではないでしょ」と思うかもしれません。
もちろん帰宅後の手洗いをしている人がみんな強迫ではありません。
しかし、強迫でない人であれば手洗いしなかったとしても、自宅に問題なくはいることができるし、その手でベッドに触れても何も思わないか、抵抗はあってもやることはできるでしょう。
2 着替え
帰宅したら着替えないと気が済まない人も多いです。
全身着替える人から、靴下だけという人までいます。
また、外で自分が汚いと思うような場所に座った時のみ着替える人も。
「昔から帰宅したら着替える習慣だった」という人もいるでしょう。
これも手洗いと同じくそうしなければ自宅の中に入れない、モノに触れないというのが強迫の人の特徴です。
3 シャワーを浴びる
帰宅後にシャワーを浴びないとダメとなると、さすがにやりすぎかもと思える人が多くなります。
全身シャワーから足だけ洗うこともあります。
家が帰宅したらシャワーにすぐにいけるような間取りじゃないと嫌って人もいます。
4 スリッパを履く
着替えはしなくてもスリッパを履かないと嫌って人もいます。
家の中に外の汚い足で入りたくない、もしくは自宅の床が汚いと思い足を汚したくないって人がいます。
人によっては、帰宅して風呂場まで用スリッパと、シャワーを浴びた後用スリッパを分ける人も。
5 バッグなど外用の置き場を作る
外出用のバッグなど外に持っていったものをできるだけ家の中に置きたくないので、それ用の置き場所をつくっていることがあります。
バッグの他、コート類や宅配便の箱なども典型例。
6 モノをふく、洗う
外出した時にもっていったものを、水洗い、ウェットティッシュで拭くなどします。
バッグ、スマホ、洋服がよくある例。
人によっては、お金を洗っている人もいます。
強迫行為をせずに自宅を汚していくイメージ
今回紹介したもののほかにも強迫行為はあるかもしれませんが、共通しているのは「外の汚い(危険)なものから、自宅内のキレイにしておきたいものを守る」ということ。
キレイにしておきたい場所を「聖域」と言います。
不潔強迫の人はこの聖域を守ろうとします。
聖域をキレイにしておくために、手洗いなどがひどくなり、強迫が悪化します。
このため、上記で挙げた強迫行為はやめる必要があるのです。
改善させるコツは 、「キレイ」と「汚い」の境目をなくすこと
ただ「強迫行為をやめる」だけではダメです。
いくら「帰宅後手洗いをしない」をしても、その後に自宅のものに何も触らずじっとしていたらあまり改善しません。
また手洗いを短くするということも無意味ではありませんが、なかなかうまくいかないでしょう。
改善のためには積極的に、外の「汚れ」を自宅内に広げて、キレイと汚いの境目をなくしていくとよいのです。
強迫行為をしないで我慢するというより、汚れをどんどん広げていく、ということを意識すると、強迫行為をやめることもできるし、不安に慣らすこともできて、強迫が改善しやすくなります。
例えば
・手洗いをしない汚い手で、キレイにしておきたい場所をさわり広げていく
・着替えをしないで、ベッドでゴロゴロ
・バッグをベッドに置く
・汚れた靴下で家中歩く
オマケ
・お金で顔を拭く(東MAXのネタようなやつ。若い人は知らないかも)
このように積極的に汚れを広げて、汚れに慣らしていく練習をする良いです。
最初は怖いかもしれませんが、やっていくうちに慣れてきます。
家族を強迫に巻き込んでいる場合は、家族も同じようにしてもらうと良いです。
「帰宅したらみんなで着替えずベッドでゴロゴロしよう!」ってノリで、家族みんなで強迫を改善する協力をしてもらえうと、よいです。
「一人ではなかなか踏ん切りがつかない」って方は、家族と一緒にやるとやりやすい人もいます。
最終的に聖域をいつでも汚いと思えるくらい汚すようなことができると、改善していくでしょう。
普通かどうかは関係なくやる
繰り返しになりますが「普通の人でも手洗いしているから」など「普通」という理由で、手洗いをしない方がよいでしょう。
日本人のフツウを基準にしてしまうと、なかなか強迫は改善しません。
「これくらいは手洗いしていいよね」「他の人も帰宅したら着替えるっていうし」など、不安なことに直面することを避ける理由にしてしまうのです。
また、他人に「普通はこれくらい手洗いしなくても大丈夫なの?」と「普通」を聞き「普通の人でも手洗いしていない人もいるから大丈夫なんだ」と頭で安心させようとしている人もいます。
これも強迫行為になる場合もあるのです。
あえて不安なことに直面して、その不安感に慣れていくのが改善のコツ。
改善のためには「この手洗いは強迫どうか」「どこからが強迫か」と考えず、
「怖ければやる」「怖さに慣らす練習」という意識でやると良いです。
最初は怖いかもしれませんが、徐々に慣れてきますよ。
「いやいや。自分はフツウ程度に手洗いができるように戻りたいだけ。そんな怖いことやる必要あるの?」って思う人もいるでしょう。
そんな人はこちらの記事も参考にしてください。
まとめ
帰宅時に強迫行為をやっている人は、強迫行為をやめて汚れを広げていくようにしましょう。
改善への糸口となります。
1人ではどうすればよいかわからないという方はカウンセリングで私と一緒にやっていきましょう。
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