浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
「田舎でキレイな空気のところに引っ越したら心の病気が治るのでは?」と思う人がいます。
水がきれい、空気がきれい、緑や自然で癒される、純粋な人の集まり・・・ストレスフリーな世界。
しかし、それは本当にそうなのでしょうか?
田舎のことなら私に任せてください。
私は青森の出身。
青森の中でも田舎と言われているところの出です。
今回は、都会で心の病気になったら田舎にいくことで改善されるのか?について書きます。
引っ越しを考えている方は、一度目を通してください。
※今回の「都会」というのは、「東京暮らし」という意味ではなく相対的なもので、人口が多いところから少ないのどかなところに引っ越したら、心の病気が治るのか?ってことについてです。
結論から言いましょう。
はっきり言って、そんなことはありません!
都市部で暮らしてきた人の妄想です。
そもそも心の病気は田舎に行ったくらいでどうこうなるものでないことが多いです。
また多くの人は誤解をしています。
「田舎の人は心の病気になりにくい」と思っている人がいるのですが、心の病気になる人はたくさんいるのです。
ストレスは普通にありますし。
心の病気になる人の確率が極めて低いわけではありません。
私は田舎の方の病院で働いていたこともありますが、患者さんはたくさんいます。
悩みの内容は地域によって違いがでるかもしれませんが、悩むのは一緒。
都会よりも精神科・心療内科に対しての抵抗感は強く、そういう意味では大変なところもあるのです。
自然を見ていたら心のが癒される?
癒されたから心の病気が治るとは限りません。
強迫症や対人恐怖のように、不安に対峙しないとなかなか改善しない病気もたくさんあります。
「自然をみて癒されるという感覚がずっと続くだろう」ってのも偏った考えでしょう。
いつかは慣れが生じ、見ただけでは癒されなくなるかもしれません。
むしろ、刺激が少ないことで考え込む時間が増え、ウツや不安が大きくなることもありえます。
田舎にも嫌な人はいます。
田舎=やさしい純粋な人が多いという発想の人が結構いるのですが、それは間違いでしょう。
田舎暮らしのストレスがない世界を夢見て移住し、失敗している人たちもいます。
心の病気はそんな単純なものではありません。
田舎だけではなく「海外に行って広い世界をみたら心の病気が治るのでは」と考える人もいますが、世界中どこにいようが悩む時は悩むのです。
もちろん田舎暮らしにも良いところはあります。
移住したら思いのほかよかったという人もいるでしょう。
あと田舎の出身だった場合で、都会の生活に慣れない人が地元に帰ることで落ち着くこともあります。
逆に田舎暮らしの人が都会に出たらよいこともあります。
閉鎖されているって感じの人や刺激が少ないのがつらいって人なんかは都会に出た方がよいこともあるでしょう。
そして田舎に住んでいても都会に住んでいても、どのような人に囲まれて、どんな生活しているかでストレス具合が変わってきます。
要するに、田舎に行けばよいわけではなく、環境が自分に合っているかとか、自分の望む生活スタイルに合致しているかが重要なのです。
田舎暮らしの方が良い人もいれば、都市部で暮らした方が良い人もいます。
そもそも、環境をかえるだけではなかなか治らない病気もたくさんあります。
「心の病気になったらからゆっくりのんびりできる田舎に行けば改善するだろう」と安易に考えるのはやめましょう。
田舎に行ったら心の病気が治るだろうと考え、安易に引っ越しを考えることはおススメしません。
旅行やメディアで知る、田舎のイメージはまず脇に置きましょう。
本当に田舎に行けば解決する問題なのか?田舎でなくてはいけないのか?イメージ先行になっていないか?
そして自分がどのような環境に身におくことが心のが安定するかを、今一度振り返ってみて下さい。
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