浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
物事をプラスに考えることは大切です。
しかし、悩んでいる時はプラスには考えられないものです。
多くの人がやたらプラス思考とかポジティブ思考とかにこだわって「プラス思考に変えられればこの悩みは薄らぐだろう」と、考えがちなんです。
最近はやりの認知行動療法をやればプラスに考えられるだろう、って誤解している人もいますがそんなことはありません。
プラスに考えられない状態だからマイナス思考なのであって。
マイナス思考時にプラスに考えられないのは当然でしょう。
無理やりプラス思考に考えようとすれば、プラスに考えられない自分を「こんな自分はダメだ」とマイナスに考えるだけ。
では、どうすればよいのでしょうか。
今回はプラス思考になれない時はどのような心持ちすればよいのかについて説明します。
悩んでいる時に選択の幅が広まると思いますよ。
そもそも悩んだ時にプラス思考が必ずしも良いわけではありません。
例を挙げてみましょう。
想像してください。
あなたは砂漠をさまよっています。 そこに水がはいったコップがありました。 コップには半分水が入っています。あなたはどう思います?どっちのタイプ?
A:半分しか入っていない
B:半分も入っている
どうでしたか?
このブログを見てる人はAと答えた人が多いのではありませんか?
ここでよくある誤解があります。
Aはマイナス思考の人でダメ
Bはプラス思考の人で良い
だからAの人はBにするべきだ。
このように考えるとモノゴトがうまくいきません。
よく考えてください。 本当にAがダメで、Bが良いのでしょうか?
「半分しかはいっていない」と考えて、節約して水を飲む計画を立てることが有効なことだってありますよね。
逆に「半分も入っている」と考えて、むやみやたらに飲んだらあっという間に水がなくなります。
つまり、AがダメでBがわるいとは限らないのです。
この状況で必要なのはプラス思考でもマイナス思考でもありません。
「どういうペースで飲んでいったら生存率が高まるか?」と、生き残るという「目的」のために「今やるべきことを考えて」「行動すること」です。
危機的な状況で「半分も入っている」とプラスに考えようとする努力する暇があったら、さっさと具体的に水を飲むペースを考えて、砂漠を抜ける方法を考えた方がよっぽど大事ですよね。
もちろん、「半分しか入っていない」と絶望的になりどうするかを考えないで考え込んでいるのもよくはありません。
どのように考えて行動すればよいかは、その状況によって異なり、マイナスに考えた方がよい場合もあるのです。
つまり必要なのは、プラスでもマイナスでもなく、その時にどう考えたら楽になるか?問題が解決するのか?役に立つ考えか?という柔軟な考え方なのです。
現実生活でも同じ。
マイナス思考が悪いわけではありません。マイナス思考に生活が囚われ続けた生活になるのがマズイのです。
よく「マイナス思考は歪んでいる」といわれますが、プラス思考だって十分に歪んでいるのです。
「なんとかなるさ」って「ホント?その根拠は?」と思いません?
現実的な悩み事を解決するのはプラス思考ではありません。
マイナスに考えた方がよいかもしれないし、そもそも考える必要がないことかもしれませんし、考えても仕方がないから実際に不安なことが起こるか実験してみることかもしれません。
例えば「自分は嫌われている」と考えてマイナス思考に陥っている時。
そんなことを考えていても役に立つことはありませんよね。
「自分はそんなに嫌われていない」とプラスに考えるのも手かもしれません。
しかし、本当のことなんてわからないので、「やっぱり嫌われているかも」と悩むのがオチです。
こんな時は「考えても仕方ない」と考え、悩みこまないようにしていくのも一つでしょう。
プラスに考えてもダメなら、棚上げしてみるという手法。
また自分の考えていることが本当かを確かめるのも手。
「自分は嫌われている」が本当かどうか確かめるために、嫌われているかもと思っている友人を遊びい誘ってみるのもよいかもしれません。
どれが役に立つかはわかりませんが、プラスに考えることだけが解決策ではないのはわかりますよね。
プラスかどうかではなく、どんな風に考えて(または考えないで)、行動していくことが今の問題を解決するのに役に立つか?という視点です。
自分がこれまでと違った思考や行動パターンをすることによって、マイナスの考えの囚われから抜け出せる可能性が上がるのです。
このためマイナス思考でうまくいっていない時は、プラス思考にしようとするのではなく、現実的に今何をした方が良い方向にいくのか?役に立つのか?と考えて行動していくのがおススメです。
マイナス思考だからプラス思考にする、という発想はあまりうまくいきません。
マイナス思考が悪いわけではなく、そこに囚われていることがマズイので。
プラス思考以外の解決方法にも目を向けるようにしていきましょう。
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