浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
私は人前で発表することが決まると、その日のことを考えるだけで緊張して憂鬱になっていることがありました。
考えると胸がぎゅーっとし嫌な感覚になります。
「きちんと話せるのか」
「つまらないと思っているのではないか」
「震えてしまって恥をかくのでは」
とか。
今でも時々緊張することはあります。
しかし、以前のように何日も前から憂鬱で仕方がないということはなくなりました。
大勢の前での講演会も気楽に引き受けられて楽です。
今回は私が大勢で発表する前に感じる緊張への憂鬱感を抜け出した方法について説明します。
このブログで紹介する認知行動療法の技術の一部を使っているので、多くの人に応用可能です。
人前で話すことを一ヶ月前から悩んでいるような人でも、何度も実践していけば少しずつ憂鬱感がマシになってくると思います。
実際に人前で話す時ではなく、事前に考えただけで不安になる不安を「予期不安」と言います。
「震えたらどうしよう」「赤面したらどうしよう」など考えませんか?
予期不安は誰にでもあることですが、あがり症の人は過度に考えすぎてしまいます。
そして共通しているのは「失敗して他人からマイナスのイメージをもたれる」ことへの恐れです。
「緊張していることが周囲にわかってバカにされたらどうしよう」とか。
このため、マイナスのイメージをもたれないようにいろいろ対策をうとうとします。
「緊張しない方法」をネットで調べたり、少しでも安心するための方法を実践しようとしたり。
しかし、その対策はうまくいきません。
緊張しない方法や安心する方法なるものは、効果があるかは事前にわかりません(ほとんど持続的な効果のあるものはありませんが)。
ですから不安は払しょくできません。
また、対策をずっと考えることはずっと発表の時の不安を考えていることになります。
ずっと考えるということは、当然不安も強くなります。
つまり対策をずっと考えていること自体が予期不安を高めているのです。
「緊張への対策しないともっとひどくなる」と考えるかもしれません。
では、対策を考えて実際にあなたの予期不安は小さくなったでしょうか?
一時的に安心したとしても結局本番まで悩んでいたのではありませんか?
緊張など「失敗しないための対策」を考えることは予期不安を逆に強くするのでやめましょう。
人前での緊張を乗り越えるために事前にやるべきことについて説明します。
「失敗しない対策をしない」と書きましたが、「発表の準備を全くしない」ことではありません。
何をどのように話すかなど考え、調べたり練習することはあっても良いでしょう。
例えば自己紹介をする時に「震えて変な人と思われたらどうしよう」と考えて、事前に震えない方法を調べたり、考えるのは悪化します。
失敗しないための対策ですよね。
一方、「どのような内容にするか」「どんな感じで話すと伝わりやすいか」と考えるのは問題ないでしょう。
「どうしたらよりよく伝わるか」とポジティブな対策はよいことが多いです。
もちろん、やりすぎると逆効果となりますが。
事前準備は「何を話すか」など現実的・具体的なものだけにして、「否定的に思われるのでは」など実際にどうかはわからないことについては、しないようにしましょう。
具体的なことを準備しているうちはよいけれど、それ以外の時間に不安なことを考えてしまうこともあるかと思います。
時間がある時ふと浮かんできてとらわれてしまうとか。
この時「考えを消そう」としてもうまくいきません。
「考えを消そう」と「考え」てますから。
余計考えます。
ふと浮かんでくるような予期不安については、何もしないでそのままにしておくのが良いです。
「考えてるなぁ」という程度にして。
もちろんそのままにすると考え込むので、できるだけ行動するようにしましょう。
人と話す、読書、ゲーム、筋トレ、何でもよいです。
何かをしていると考えこみにくくなりますよね。
仮に集中できなくてもよいので、行動するようにしましょう。
集中できないから行動しない、になると不安なことに集中するだけですから。
それとヒマは不安のエサになります。
不安になったら動くことも大切ですが、あまり考える時間が多くならないように多少忙しくしている方が予期不安は浮かびにくくなるでしょう。
予期不安への対策について説明しました。
実践することで不安に悩まされることも少なくなります。
しかし、これだけでは不十分です。
あがり症の人は、事前準備だけではなく本番でも悪化するようなことをしています。
そこも改善していくことで、予期不安も弱くなってきます。
効果的な練習を何度もすることで効果を実感できる可能性は高まります。
予期不安以外のことについては、こちらの記事を参考にしてください。
自己紹介で緊張する人が克服するために知っておきたい7つのコト
人前で発表することが決まると本番前から悩む「予期不安への対策」について説明しました。
不安はあっても憂鬱になるくらいのことは少なくなります。
悩んでいる人は何度も実践してください。
うまくいかない時は私とカウンセリングで改善しましょう。
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