浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
鍵やガス、コンセントの確認が止められない。
強迫性障害でよくある症状です。
ひどくなると、外出するのに1時間以上かかり、外出が嫌になって引きこもりのようになることも。
そうなる前に治しておきたいですよね。
しかし「3回だけやって確認しないようにしよう」など回数を減らそうとしてもなかなかうまくいっていないのではありませんか?
確認を減らしていくにはコツをつかんでいないとなかなか難しいのです。
今回は、強迫性障害の人が鍵やガスなど外出時の確認を改善するコツについて書いていきます。
外出しようとすると「コンロに火がついていて家事になったらどうしよう」と考えます。
これが「強迫観念」です。
不安なので確認をします。しかし、何度確認しても「さっきみたのは見間違いでは」など考え確認を繰り返します。
いくら頭の中で「よし、確認したから大丈夫」と考えても不安。
自分の記憶が曖昧で、いつまでも確認します。
安心しようとしてやっている一連の確認作業が「強迫行為」です。
強迫行為はやればやるほど強迫観念が強くなり、もっと強迫行為をやりたくなります。
よく「記憶が自信ない。だから自信がもてるように何度も確認しよう」という人がいますが逆効果です。
記憶に自信がないから悪化するのではなく、強迫行為をしているからもっと自信がなくなり悪化していくのです。
やればやるほど自分の記憶が正しいかわからなくなり、無限の確認ループになってしまいます。
麻薬と一緒ですね。
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よくあるマズイ対処法を挙げてみます。
・頭の中で「大丈夫」と安心するために言い聞かせる
盲点ですが、頭で安心させようとするのも強迫行為です。
ですから「さっき確認したから大丈夫」と言い聞かせたり、カギをかけたかどうか記憶をたどったりしてはいけません。
・じっくり確認するために時間をとる
「確認に時間がかかるから、朝早く起きて確認する時間をつくればいいのだ」と考えてしまう人がいます。
これは何の解決にもなりません。
・家族より先に出て戸締りを避ける
確かに確認をしなくてよいので強迫はなくなるでしょう。しかし、治ったわけではないので家族に迷惑をかけたり、どうしても自分が最後に外出する時に困ります。
・「確認は○○回だけ」って決めて確認を減らす
絶対にダメではないですが、このやり方はあまりうまくいきません。
想像してみてください。
ケーキが大好きだけど、ダイエットしているためケーキを食べないで我慢している人が、目の前のケーキを見て「一口だけ食べて我慢しよう」としたらどうなるでしょうか?
一口食べたらもっと食べたくなりますよね。
適度な回数で止まらないが強迫。
「ちょっとやって我慢」は実はとっても難しいのです。
むしろ、我慢していた分だけもっと確認をするようになります。
仮に確認を減らせたとしても、安心することにこだわっているため強迫は良くなりきらず、ちょっとしたことで悪化していきます。
改善するためには、確認の時に起こる不安に慣らしていくことが必要です。
家族に閉じまりをしてもらうなどをやめ、自分で戸締りをします。
そして確認を止める練習をしていきます。
先述のように「2回だけ確認してよしとしよう」など回数を限定するやり方はうまくいかない可能性が高いです。
中途半端に全体的に何回か確認を減らしていくより、ハードルが低くても確認しないところを増やしていった方が改善しやすいでしょう。
「いきなり確認ゼロは難しい」と思うなら、確認ゼロでやれそうなところを見つけてやりましょう。
ガスは確認してしまうけれどエアコンだったらやれそうならそこからやってみるとか。
外出時間が短ければ確認ゼロでできそうなら、そこからはじめて徐々に時間を延ばしてみるとか。
低いハードルから始め、徐々に高いハードルへとやっていくとよいでしょう。
心持ちに注意してください。
「カギをしめているから大丈夫」など頭の中で確認するのは強迫行為なのでやってはいけません。
記憶をたどることも同様です。
ではどうすればよいかというと「カギをしめないできた。泥棒に入られて財産を失い、家庭が崩壊する」など、自分が怖いと思っている考えを思い浮かながら外出しましょう。
最初は不安かもしれませんが、時間が経つと弱まってきます。
この練習をすることで怖い考えが浮かんでも確認をせずに済むようになります。
何度もやりましょう
自然に外出する機会をまってやるだけではなかなか良くなりません。
毎日やったほうがよいですし、可能であれば一日何回もやりましょう。
やればやるほどよくなります。
あえて不安になる機会を増やして練習しましょう。
外出する時に鍵やガスの確認で悩んでいる人は以下のことをやっていきましょう。
・戸締りは自分であえてやる
・確認はしない。
・頭の中で「○○だから大丈夫」はやらないで、最悪どうなるかを考える
・外出する機会を計画的に増やして練習する
どのようにして練習していいかわからない、一人だと無理!って方は私と一緒に改善していきましょう。
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