浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
「自分は重い病気にかかっているのではないか?」と不安になっている人はいませんか?
不安になって、ネットで病気について調べることに時間をたくさん費やしたり、お医者さんのところにいって検査を受けるけれども、すっきりせずいろんな病院にいったり。
以前は心気症といわれていましたが、DSM-5という診断基準では「病気不安症」と言われています。
他のこころの病気とかぶっていることもよくあります。
この記事では、どういう人が病気不安症なのか、そして対策はどうしたらよいか?について書いていきます。
病気への不安で悩んでいる人が改善する手がかりになると思います。
診断基準を見ていきましょう。
DSM-5という診断基準をご紹介。
専門的な知識が必要なので、実際の診断はお医者さんのところにいってくださいね。
以下のA~Eにあてはまっているか、です。
解説していきますね。
A.重い病気である、または病気にかかりつつあるというとらわれ
これはそのまんまですね。
「自分は重い病気にかかっているのでは?」と不安です。
B.身体症状は存在しない。または存在してもごく軽度である。他の医学的疾患が存在する、または発症する危険が高い場合は、とらわれは明らかに過度であるか不釣り合いなものである
「重い病気」の根拠となる症状が、存在しないこともあるし、あったとしても軽度でしかないですよーってこと。
例えばちょっと目まいがしたら「これは脳梗塞では?」と不安になるとか。
C.健康に対する強い不安が存在し、かつ健康状態について容易に恐怖を感じる。
ネットやテレビで病気の特集をすると、怖くなって「自分もそうなのでは?」とすぐに不安になってしまいます。
D.その人は過度の健康関連行動を行う(例:病気の兆候がでていないか繰り返し体を調べ上げる)、または不適切な回避を示す(例:受診予約や病院を避ける)
例えば皮膚がいつもと違った感じがして「皮膚がんでは?」と不安になると、皮膚をいつもチェックしているとか。
ネットで自分の症状を調べて、それに時間を費やすことも多いですね。
調べても安心するどころか、さらに怖くなります。
病院に行って検査すると「異常なし」ですが、これでも安心できません。
お医者さんや周りに「大丈夫ですよね」と確認します。
E.病気についてのとらわれは少なくとも6ヶ月は存在するが、恐怖している特定の病気は、その間変化するかもしれない。
「テレビをみて一回不安になった」って人はたくさんいますが、それが半年以上続いている人はとらわれが強いといえるのでしょう。
それと最初は目まいが不安だったけれど、それがなくなった。だけど、次は耳鳴りが気になってくるとか、他のところが気になり始めることもありますよーってこと。
F.その病気に関連したとらわれは、身体症状症、パニック症、全般性不安症、醜形恐怖症、強迫症、または「妄想性障害、身体型」などの他の精神疾患ではうまく説明できない
これは、他の病気についても知っていないといけないので、一般の人には理解しにくいところです。ここを説明すると膨大な量となるので、今回は省略します。
さて、肝心の対策です。
病気不安症がなぜひどくなっていくかというと、過度に白黒はっきりさせようとするからです。
病気かどうか曖昧な状態に耐えられず、白黒はっきりさえようとする行動は不安を強くさせる性質があります。
このため、いくら病気を調べても、病院で検査をしても安心できません。
どんどん悪化するだけです。
一日中、病気かどうかを調べ時間を費やすということは病気についてずっと考えていることになりますからね。
仮に一つの症状について安心できたとしても、次の症状が不安になるだけです。
どこかで悪循環を断たなくてはいけません。
では、どうしていったらよいのでしょうか?
大きくは2つ
まずこれまで不安な時に安心するためにやっていた行動はやめましょう。
代表例は以下のことです。
・ネットで病気について調べる
・気になる部分を何度もチェックする
・体温を何度も測る
・病院受診をしてはっきりさせようとする
・周囲に「大丈夫だよね」と確認する
多分、これらの行動を止めると一時的に不安は上がり、モヤモヤすると思います。
「万が一大変な病気だったら」と不安に思うでしょう。
しかし、そのまま生活していくことでモヤモヤの度合いが少しずつ減ってやり過ごせるようになるのです。
「病気かどうかはっきりさせないと一生悩み続けるのでは」と考えるでしょうが、まずそのようなことはありません。
曖昧な状態にして置く練習をしていきましょう。
そうしているうちに曖昧な状態に耐えられるようになり、今まで不安に思っていたものが気にならなくなってきますよ。
病気のことを心配している時って、何もやっていない時間があるときのことが多いです。
このため、あまり暇な時間は作りすぎない方がよいです。
「こんな不安なんだから、楽しいことに集中できないし、やる気がでない」と思うかもしれません。
しかし、楽しいことをやめて不安なことに没頭すれば、さらに不安は強くなります。
100%集中できなくてもよいので、活動していきましょう。
何もせずただモンモンと考え込んでいるよりは、気分は改善しやすいです。
暇な時間何をすればよいか?ですが、なんでもOKです。
基本的には不安じゃなかったらやっているのか?を考えて実行してみてください。
「不安なことばかり考えてきたから暇なときに何していいか全くわからない!」って人はこちらの記事を参考にしてください。
https://www.heartcompany.co.jp/urawasinri/2017/02/06/post-4522/
病気が不安だけれど、なかなか一人で改善するのが難しいって人は相談しに来てくださいね。
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