強迫性障害の原因は母親?セロトニン不足?性格?ホントのところを解説

浦和すずのきクリニックの鈴木です。




強迫性障害は、私の受け持っている患者さんの中では最も多い病気です。

手洗い、確認、頭の中でしっくりくるまで反復行動をする、縁起の悪いことを恐れるなど症状は様々。

よく聞かれる質問は、強迫性障害の原因についてです。

ネットを見ると母親とかセロトニンとか元々の性格とかいろいろいわれていますが、実際のところはどうなの?って思いませんか?

そこで今回は、強迫性障害の原因について解説します。

 

 

 母親やセロトニンは原因ではない

 

結論から言えば、原因はわかっていないです。

「セロトニン」「脳の異常」「性格」「遺伝」「環境」とかいろいろ言われていますが、あれは全部仮説です。

 

よくやってしまうのは「セロトニンを増やす薬が効くのだから、セロトニン不足が強迫の原因だ。だからセロトニンを増やようなことをすれば治るのだ」と考え、セロトニンを増やすと言われている食べ物を食べるなどすること。

はっきりいってムダです。

そのような食事をしたから強迫症が改善する根拠はありません。

バランスよく食事をしていた方が健康によいでしょう。

セロトニンはあくまでも心の病気のきっかけに関連しているのではないか?と言われている脳内物資の一つにすぎません。

これをセロトニン不足が原因と勘違いしてしまう人が多いです。

特にネットなどで「セロトニン不足が原因です」と断言しているものは「あー、この人間違ったこといっているなぁ」と思ってよいです。

 

またカウンセリングや医療機関などで「幼少時の両親との関係が原因」と言われることもあるようです。

特に母親が原因とか愛情不足とかいわれることがあるようですが、それは根拠がないと思ってよいでしょう。

仮に親を責めて謝ってもらい、愛情いっぱいになったら強迫性障害が治るか?と言われれば治りません。

親のせいにすることでだいたいは親子関係が悪化してストレスとなり、強迫を改善することの足かせとなりかねません。

 

性格についても几帳面とか完璧主義とか思われていますが、几帳面や完璧主義な人でなくても強迫になってしまいます。

 

もちろん両親が手洗いを強くすすめて手洗いが止まらなくなったとか、影響がある人もいるでしょう。

しかし、それは原因ではなく環境要因の一つにすぎません。

手洗いを強くすすめられた人が全て強迫性障害になるわけでありません。

そこにはいろんな要因が絡み合っていると考えられています。

 

 

リスクが高くなる要因はある

 

ただリスクを高める要因はあると言われています。

代表例はこちら。

・「~するな」など厳しく抑圧された環境

・虐待やストレス

・遺伝

 

ほら!やっぱり原因があるじゃないか!と思ってしまいそうですがこれらのことがあるからといって「原因」とは言えません。

先述のように抑圧さらた環境や、虐待、ストレス、遺伝があるからといって、全ての人が強迫性障害になるわけではないからです。

 

 

 リスク要因を取り除いても治らない

 

「ストレスとかがリスク要因だったらそれを取り除けばよいのでは?やっぱり原因探しは重要じゃない?」って思うかもしれまんせん。

しかし、それも間違いです。

例えば、仕事のストレスが強いことがきっかけに、書類の確認や自宅で鍵の確認がひどくなったとしましょう。

このような人が仕事を辞めてストレスから解放されても強迫性障害は治りません。

ストレスが軽くなり、症状は軽減するかもしれませんが。

仕事関連の症状は少なくなっても、自宅での鍵の確認はあるし、だいたい他のところにも強迫症状がうつってきます。

 

リスクを高める要因はあっても原因は特定できていない、というのが現状です。

これは強迫性障害に限らず、うつ病など他の心の病気も同じように原因が特定できていません。

 

 

原因はわからなくても、改善することがわかっています

 

原因がわからないなら治療はどうするの?と思うかもしれません。

幸いにも心病気は原因がわからなくても、改善することがわかっています。

 

「原因がわからなくても改善する」というのにピンとこない人という話をききます。

これについては「骨折した原因がわからないとしても治せるのと同じ」と言われています。

転んで骨折したとか骨折した原因がわからなくても、お医者さんは治してくれますよね。

心も体も原因が不明だからといって必ずしも治らないということはないのです。

 

 

では、治す方法は何か?

今のところ、薬と認知行動療法の2つのみです。

それ以外の方法は効果が認められていません。

効果は認知行動療法の方が上と言われています。

しかし、ほとんどの人が薬のみの治療となってしまい、認知行動療法を受けられていないのが現状でしょう。

これは専門家が少ないのが原因の一つ。

患者さんの話を聞くと「認知行動療法やってます」と書いてあっても、実際はやっていなかったり、ほんとど症例を経験していない、ってことも多々あるようです。

また「認知行動療法はあまり効果がないからおススメしない」と言われることもあるようですが、まずそんなことはありません。

これは、医療関係者にも強迫性障害に関する知識が乏しい、または認知行動療法で改善させた経験がない人が多いためそのようになっているだけです。

世界中でその効果が確かめられています。

このため専門家探しには苦労するかもしれません。

せのせいか私のところにも北は青森、南は鹿児島から通われる方もいるくらいです。

 

薬や認知行動療法はどちらもメリット、デメリットがあります。

これについてはこちらの記事を参考にしてください。

強迫性障害はどれくらい良くなるの?薬と認知行動療法の比較

 

まとめ

 

強迫性障害の原因は不明です。

原因は何かよりも、どうやったら良くなるか?と考え実行していきましょう。

いたずらに原因が探しをすることは、治療を遅らせるだけ。

治療は薬と認知行動療法以外にありません。

きちんと専門家のもとで治療していってください。

 

 

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。