浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
ドアノブを触ると「病気になってしまうのでは」
鍵をかけても「鍵が開いているのでは」
と考えて、何度も手を洗ったり、鍵の確認したりするのが強迫性障害。
この時の「病気になってしまう」「鍵が開いているかも」など浮かんでくる考えを「強迫観念」と言います。
強迫性障害を治すためには強迫観念をどう扱うかがポイントです。
間違った対応をすると、なかなかよくなりません。
今回は強迫観念への対応でよくある間違いと、対処方法について紹介します。
不安になった時、こんな風に考えていませんか?
「ドアノブに触るくらいじゃ病気にならない」
「鍵をかけた音がしたから大丈夫」
一番あるマズイ対応です。
不安だから安心しようとしますよね。
ところが
「ドアノブに万が一凶悪なウィルスがいたら」
「さっきかけた鍵の音は聞き間違いだったかも」
こんな感じでいくらでも理屈を覆されます。
それでまた不安に。
安心→不安→安心→不安を繰り返すのが強迫性障害。
理屈では強迫観念に勝つことはできないです。
いくらでも不安なことなんて考えだせますので。
勝てないだけならいいのです。
否定したり安心させたりすることは強迫観念を大きくさせる作用があるのです。
結果、手洗いや確認がひどくなります。
家族の方も「何も起こらないから大丈夫だって!」と安心させようとしてはいけません。
時々、医療機関などでも「大丈夫だって安心させてください」とアドバイス受けることあるようですが、それは間違ったアドバイスです。
なぜこうなるかというと、強迫性障害の治療法がきちんと広まっていないことが原因の一つ。
このため、自分自身で正確な知識を得る必要があります。
強迫観念は不快なので、考えたくないものです。
特に「怖いことを考えてしまった」と考える縁起強迫の人なんかはそうでしょう。
ついつい「考えないようにしよう」「強迫観念を消そう」と思いがち。
「考えないようにする」とどうなるか知っていますか?
余計考えるようになるのです。
実験してみましょう。
時計を準備してください。
準備したらこの写真をよーくみてください。
実験
これから3分間の間、ネコを思い出さないように努力してください。
いいですか?
ぜったい、ネコを思い出しちゃだめですよ。
はいスタート。
どうでしたか?
思い出した人が多かったのでは?
「ネコについて考えないようしよう」と考えるのは、結局「ネコ」について考えていますよね。
「ネコのことを考えないために犬のことを考えよう」とか。
思いっきりネコを意識しています。
だから「考えないようする」は逆効果なのです。
思い出したくないものほど、思い出すってことありませんか?
あれは思い出さないようにしようとしているから。
強迫観念を受け入れる練習をします。
どんな練習をするかというと、強迫観念を肯定形にするんです。
「手に危険のウィルスがついているのでは?」
→危険なウィルスがついて大変なことになっている
「ガスの元栓が開いていて火がついているのでは?」
→ガスの元栓が開いてすでに火がついている
「不吉なことが起こるのでは」
→「不吉なことが起こる」
あえて不安なことを考えるのです。
自分が考えたものよりさらに最悪のことを考えると効果的。
するとどうなるのか?
怖い考えへの恐怖に少しずつ慣れていきます。
これまでは不安に思うと「大変だ!なんとかしなきゃ」ってなっていましたよね。
それが強迫観念が浮かんでも「あのいつものパターンね」とやり過ごせるようになるのです。
最初は怖いかもしれませんが、練習していけば大丈夫ですよ。
強迫観念への対応でしてはいけないのは以下の2つ。
①強迫観念を否定する
②強迫観念を考えないように努力する
治療のためには、強迫観念を肯定形にして不安に慣れる練習をする。
やり方がわからない時や、一人では勇気が出ない時は相談しに来てくださいね。
うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は浦和すずのきクリニックの受付、 または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他の病院に通院中の方、どこにも通院されていない方でもカウンセリングは受けられます。