強迫行為の扱い方―「一回だけ」が悪化を招く!

浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。

「一回だけやって終わろう」が強迫性障害を悪化させる。
手洗い、確認、しっくりしないことなど、何度も繰り返してしまう強迫性障害。
一度強迫行為をやったら止められないものです。

一回やると一時的に安心しますが、その後もっとやらないと気が済まなくなります。
麻薬と同じようなもの。

「普通の人だってやるでしょ」
こんな風に考えて手洗いや確認をしているとなかなか良くなりません。

下手に強迫行為を減らそう、と思って挑戦するともっとやりたくなるのです。
中途半端な我慢の仕方をすると、強迫観念はもっと強くなる性質があります。
「やっぱり我慢すると悪化する。つらいだけだ」となり、挑戦する気が失せてきます。

一回だけやってやめる、って全然やらないよりも、実はハードルが高いもの。

「あと〇〇回だけ手洗い(確認)しよう」って少しずつ強迫行為を減らそうとして努力して、強迫行為が減ってくる人もいます。
しかし、以前よりよくなったけれど、改善が途中で止まっていませんか?
例えば以前は5時間入浴していたのが1時間になった。
これは大変な努力ですが、ここで前よりマシになったからといってそのままのやり方でやるとうまくいかなくなります。
また容易に悪化しやすいのです。

「時々強迫に囚われる」ってのは良いのですが「以前よりマシになったけれどいつも強迫やってる」ってのは良くなっていない可能性があるので注意してください。

減らすのではなく、やらないってことが大事。
「不安だけど後で手洗い(確認)すればいいや」ってのもダメです。
「そんなことできたら苦労はないわ~!」っていう声が聞こえそうです。
ごもっとも。
もちろん最初から完璧にやらないなんてほとんどできません。
できるところから始めていきましょう。
その時は低いハードルでも良いので、強迫行為をしないで不安に挑戦していくのがコツですよ。

「一回だけ」は強迫の悪化のもと。
きちんとポイントをおさえていけば強迫は良くなります。

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