浦和すずのきクリニック、臨床心理士の鈴木です。
私のカウンセリングではあまり過去の事は聞きません。
根掘り葉掘り聞いても意味がないからです。
よく「過去の親子関係が現在の症状に影響する」という理屈が広まっていますが、全く科学的根拠はありません。
たとえ過去に色々あった人であっても、一つの要因ではなく色んな要因で症状は出現します。
また、そのような理屈に基づいたカウンセリング方法が有効であるという根拠は乏しいのです。
だから私は過去のことは最小限しか聞きません。
これからの治療に必要な情報を得るため過去のことを聞くことはありますけどね。
ただ過去のことが現在の症状の原因になっている、という理屈は魅力的な側面があります。
だいたい両親のせい、となり安心できるのです。
「自分のせいじゃないんだ」という安心感がある方が多いようです。
そうなるとどんどん先祖を責めて「家族病理だ!」なんて「病気」を作っていくことになりかねません。
誰かを悪者にすると一時的な安心感は得られますが、現在の問題は解決しません。
もちろん自分を責めても解決しませんよ。
まぁ「この症状の原因はなんですか?」の問いに
「いやぁ、実はいろんな要因があってわかんないですよ」というより
「親子関係が原因なんです」
って言った方がウケは良いような気がしますけど・・・根拠がないものを「そうだ!」というのはどうかなと私は思うのです。
大事なのは「これからどうするか」です。
過去につらいことがあったとしても過去は過去で受け入れ、囚われないことで未来が開けてきます。
思い当たる人は「これから」に目を向けていってみてはいかがでしょうか。
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