「 2011年07月 」一覧

強迫観念への対処方法

臨床心理士の鈴木です。

強迫性障害には行動療法が有効であることを知っている人は多いでしょう。

しかし前にも書きましたが、自分一人で行動療法をやっても良いのですが、すぐに行き詰ります。

その要因の一つかもしれないのは、強迫観念の扱い方です。

「鍵をかけ忘れたのでは」という強迫観念があった時はどうしていますか?
「さっき鍵をかけたから大丈夫だろう、と思いこもう」としても、だいたい「やっぱり不安」と失敗しませんか?

「バイ菌がついているようで何度も手を洗わないと気が済まない」という強迫観念に「そんなに洗わなくても平気だ、バイ菌はそれほど問題ない、と思いこもう」としても、「万が一とういうことがあるし・・・」となっていませんか?

実は強迫観念に「常識」で立ち向かおうとしてもムダなのです。
さらにいうのならば強迫観念と闘ったり、抵抗したり、分析したり、説得しようとすることは逆効果です。

強迫観念と闘っている間って何について考えていますか・・・?
強迫観念ですよね。
つまり、強迫観念に抗うやり方はさらに苦痛を大きくさせているのです。

では、強迫観念に抗うのをやめたらよいか?ということになります。
実際には「受け入れていく」という作業をします。
考えを受け入れ「強迫観念があっても大丈夫」を目指すと良い方向にいきます。

しかし「そうか。抵抗せずに受け入れればいいんだ」と思って、強迫観念を受け入れ、すぐに「治りました」という人はもちろんいません。
そもそも「受け入れるって?」ということもわかりにくい概念ですし。
このため理屈ではなく、実践の中で「受け入れる」方法を少しずつ練習していく必要があります。
それが強迫性障害を克服していく一歩となります。

「やっぱり受け入れるってどういうことかわからない」と思ったり、一人でやっていて行き詰ったら、行動療法の専門家に相談しましょう。

うつと不安のカウンセリング・認知行動療法ご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


パニック障害とカフェイン

臨床心理士のすずきです。

朝のコーヒー。
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苦手な人もいると思いますが、私の場合味や香りを楽しむことが今日一日がんばろうとする気にさせます。
昔は自宅で豆を挽いて、お湯を豆に注ぐ時の香りや膨らんでくるコーヒーを見ることが好きでした。
今はちょっと面倒になって、インスタントコーヒーに逃げることが多くなりましたが・・・。

今回はコーヒーに含まれるカフェインとパニック発作について。

パニック障害の人はカフェインを控えるよう指導されます。
パニック発作の引き金となる人もいるようです。

ただし発作を怖がりすぎてカフェインを全くとならなくなってしまう人もいます。
カフェインをとることを怖がっているうちはあまりよくなっていないようにも思えます。
パニック発作を怖れ、発作を起こさないようにすることが生活の中心ではいけません。

認知行動療法の中にはカフェインをあえてとって、発作を怖がらなくなるような方法もあります。
もちろん人によって気をつけなければいけないこともありますが。
パニック障害が完璧に治らないうちはコーヒーを飲んではいけないと思いこんでいる方がいましたら、一度カウンセリングに来てみてください。
コーヒーが怖くなくなり、飲めるようになるかもしれませんよ。

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客観的思考は楽しいですか?

臨床心理士の鈴木です。

前回、ポジティブ思考は歪んでいる可能性があることについてお話ししました。
ネガティブかポジティブかではなく、物事をある程度客観的にみることは、メンタルヘルスを保つ上でも重要なことかなと思います。

このためカウンセリングの中で客観的に物事を見ていく練習をしていくことが多いです(今回は「客観」「主観」の難しい定義の問題は脇に置いておきます)。

実際にうつ病や不安障害など治療の上では役に立ちます。

しかし、客観的に物事を見るというのは面白くないと思うこともあります。

何かを楽しんでいる時とか、熱中するものとか、好きなことをやっている時とか。

客観的に第3者的視点からみたらつまらないなぁ
おもいっきり主観的な方が楽しいこととか、楽なことってあるなぁ
・・・と私は思うこともあります。

それを考えると主観的であろうが客観的であろうが、その考え方がどれだけ役にたっているか、人生を豊かにしているかが重要だと思うのです。
そのあたりを私はカウンセリングでも大事にしていっています。

みなさんはどう思いますか?

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ポジティブ思考は歪んでいる

臨床心理士の鈴木です。

例えば上司にひどく怒られた時に
「あの上司は自分のことが嫌いに違いない」
と、考えたとします。

さて、このように考えた場合、この考え方は正しいのでしょうか?

よく
「上司はこれからのあなたに期待して怒っているんだ」
とポジティブに考えると良いという人もいます。

しかし、この考えも正しいのでしょうか?

実際はどっちの考え方が正しいかどうかはわかりません。
本当に上司は嫌っている可能性が十分あります。

つまりどちらの考えも一つの可能性にしかすぎません。
ポジティブ思考と言われているものも歪んだ考えと捉えることもできるのです。

そんな歪んだポジティブ思考にしようと思ってもうまくいかないものです。
中途半端なポジティブ思考は役には立たないでしょう。
重要なことはポジティブに考えることではありませんし。

ではこんな場面ではどのように考え、行動してけばよいのでしょうか?

一つの指針として、自分にとってどのように考え行動することが「役に立つか」、というものがあります。
それを提供できるのが認知行動療法です。
このような観点から、「ポジティブ思考はできない」という方や、抑うつ的な思考や不安を治していきたいという方は、認知行動療法が役に立つかもしれません。
「ポジティブ思考」以外の観点が提供できると思います。

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うつと不安の夫婦のコミュニケーション

臨床心理士の鈴木です。

震災以後、結婚したい人が増えているそうです。
やはり人と人との結びつきは誰でも求めている人が多いのでしょう。

しかし、当然のことながら結婚してからが大変。
良くズレが生じるものです。

悩みごとがある時、ただ愚痴を聞いてほしいだけなのに夫から
「それでどうしたいの?」
「その考え方間違ってない?」
「気分転換でもしたら?」
「誰だってそうだよ」
という言葉。

こんな風に言われたら悩んでいる奥さんは、
「この人わかってくれないな」
って思うものです。

さらに夫はなぜ「わかってくれない」と思うのか理解できず
「じゃぁ、なんて言えばいいんだ!」
と追い打ちをかけるような悩ませる一言。

「そういうことじゃないのだけれど」
と奥さんは追い詰められます。

いつまでも経っても「ズレ」は埋まりません。

そうすると結婚して大事な人といるのにもかかわらず「孤独」を感じるのです。
うつになっている時はさらにうつがひどくなるでしょう。

うつや不安に悩まされている時は、そのような家族間の「ズレ」を埋めていくことも必要かもしれませんね。

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躁状態への対処

臨床心理士の鈴木です。

報道などである政治家が「軽い躁(そう)状態」という記事がありました。

報道の内容が正確かはともかく「うつ病」と診断されていながら「躁状態」もあるということがあります。
いわゆる双極性障害(躁うつ病)です。

躁状態はそのような素因があったかもしれませんし、抗うつ薬によって引き起こされる可能性があります。
躁状態であれば、お薬の処方や原因となった薬を減らすなどの処置がとられます。
カウンセリングでは認知行動療法的な躁状態への対処の仕方を教えます。

実際にうつ病と診断されていながら、躁状態もあるのでは?と思うことも多いです。
診察の時間が少ないために見逃されていて、「うつ」の診断を受けいつまでも良くならないケースもあります。
そのような時は、どのような症状をどのように医師の報告すれば良いかをアドバイスもしています。

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睡眠と夢

臨床心理士の鈴木です。

暑くて寝ぐるしい日が続きますね。
眠れないという人も多いでしょう。

睡眠に「夢」はつきもの。
私のような職業をやっていると「こんな夢を見たけど、これはどういう意味?」と知人から聞かれることがあります。
色んな雑誌等で夢分析みたいのがあるので聞かれるのはわかっています。
そのようなことを専門としている同業者がいるのもわかっています。

しかし、あえてはっきりとしたことをいいますと・・・

そのような夢分析に、なんら科学的根拠はありません。
またそのような「治療法」も効果があるという根拠はありません。

このため私のカウンセリングでは夢の内容そのもの自体を扱うことは少ないです。
扱っても治療にはほとんど役に立つことはありません。
他の部分に取り組んでいった方がその人の役に立ちます。
分析内容の真偽はともかく、今後の治療的観点から役に立つように解釈するのは良いと思いますけど。

このように本当のことを言うとがっかりされることが多いです。
「深層心理」みたいなものが「心理学」だと思っている方も多いので・・・。

個人的には「なぜそのような夢をみるか」の本当のところはわからない方が良いと感じています。
どんな夢でも今後の役に立つように解釈できる機会が失われますから。

ただし
「どのようにしたら眠れるようになるか」
「悪夢に対してはどうしていけばよいか」
についてはご相談にのれると思います。

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パニック障害と暑さ

臨床心理士の鈴木です。

暑くなってきましたね。
うちのクリニックでも「みどりのカーテン」をはじめたようです。
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最近では一般の家庭でもやっているところが多いようですね。

ただ、疑問が。
今も十分暑いのですが本当に役に立つのはいつだろう・・・。
虫がたくさんついたりしないのだろうか・・・。

まぁ、あまり考えすぎると何も始まりせんので、どうなるか観察してみようかと思っています。

暑くなるとパニック障害の方は外出するのがさらに怖くなりがちです。
あの「モアッ」とした空気。
息苦しさが増してくるでしょう。
怖くなり引きこもることとなります。
そうするとさらに恐怖感が増すという悪循環。

何度も書いていますが、パニック発作が怖いからといって不安場面を避けたり、気をそらすことばかり考えたり、頓服を飲むことしか考えていないのであれば、症状が長引きます。

夏は苦しいと思いますが、逆にパニック障害を克服するための練習機会がたくさんあります。
チャンスだと思って克服する練習をしてみましょう。

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うつと不安の休職中の注意点

臨床心理士の鈴木です。

うつや不安で悩んでいる人で
「気分が上向いたら動こう」
「やる気がでてきたら動こう」
「前向きになれたら動こう」
こんな感じで過ごしている人は要注意です。
いつになったら「やる気」が出てくると思いますか?
いつまで「やる気」が出てくるのを待ちますか?

うつや不安で休職していて、復職を考えている人で
「今日は気分が落ち込んでいるから寝ていた」
「不安が強いから薬を飲んで休んだ」
という状態であるならば、復職の時期を考えた方がよいかもしれません。
復職したあと落ち込んだり不安になったらどうしますか?
不安に対して頓服薬を服用して安心することが本当に回復していると言えますか?

日々の活動がその時々の気分に左右されている状態では復職は難しいでしょう。
まして「やる気が出てくるまで待つ」、「不安になったら頓服だ」というような対処しか持ち合わせていないでは復職してもすぐにぶり返す可能性があるでしょう。
復職するには気分に左右されずに目的の活動ができるようになるまでもっていかなくてはいけません。

うつや不安の気分に左右されずに活動するのは容易ではありません。
自分でできないと思う方は、専門家の手をかりて復職の準備をしてみましょう。

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社交不安障害・対人恐怖の方への復職プログラム

臨床心理士の鈴木です。

「社交不安障害・対人恐怖の方へのカウンセリングはどんなことをやるのか知りたい」という声がありましたので簡単に紹介します。
特に休職中の方の問い合わせが多かったです。

例えば人目が気になってしまい、「どのように思われれているのか」と思い悩む、赤面、発汗等、震え等で悩んでいる方へは・・・
①どのようにして症状が持続しているのかを解説
②人目が気になる時の考え方や行動をどのようにしていけば良くなっていくかを解説
③人目が気になった時はどのような心持ちでいればよいか、どこに注意を向けてどのような行動をしていけば良いかを解説
④カウンセリング中に練習
⑤日頃から練習することの解説
⑥実際の不安場面で挑戦してみて、微調整・復習

人によって大きく異なる場合ありますが、だいたいこのような流れです。
認知行動療法によるプログラムで書籍等で情報は入りやすいのですが、一般の方が本を読んで自己流でやるとだいたい失敗・挫折しますのでご注意を。

他で認知行動療法を受けていて「いまいち効果がなかった」という方もきていただければと思います。
そういう方の多くがずっと「プラス考える方法?」「新しい考えを見つける方法?」みたいなものを何回もやっているだけの方が多く、認知行動療法において大切な部分をやっておりません。
残念ながら社交不安障害に限らず、紙に「考え」を書かされてばかりの「認知行動療法」を受けて、良くなっていない方もかなり見かけます。
これは認知行動療法に不慣れな臨床心理士が多いことが要因と思われます。

集団で認知行動療法をやっているところもありますが、私は社交不安障害の方は個々に悩んでいる背景等も考慮して改善プログラムを立てなくてはいけないと思っていますので、集団療法はやっておりません。
・集団は苦手な方
・わからないことが集団だと聞けない方
・個別性を重視される方
は、個別カウンセリングをお勧めします。
症状が改善されるように私がマンツーマンでお手伝いします。

特に社交不安・対人恐怖で休職中の方は、苦手な場面がそのままだと復職してもまた悩むことになるので、休職中で時間のあるうちにカウンセリングを受けることをお勧めします。
現在復職中の方もまた休職にならないように対策を打ちましょう。

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