「 2011年04月 」一覧

地震後の心のケア

臨床心理士の鈴木です。

この度の東日本大震災で被災され方に心よりお見舞い申し上げます。

この震災で私の知っている臨床心理士や医療スタッフでも被災された方がたくさんいました。
地震以降心身の不安を訴える人も多いようです。
被災者でもある臨床心理士や医療スタッフが被災地で心身のケアにあたっています。
これからさらに心のケアの需要が増えてくるでしょう。

一方で、被災地の方だけでなく、首都圏の住んでいる方も精神的に不安定になっていることが報道されています。
それは様々な要因があるとは思うのですが、最近多いなと感じることがあります。
その一つなのですが・・・
毎日のようにテレビで「がんばろう」というメッセージが流れます。
それをみて「しんどい」と思う人が増えているような気がします。

前向きなメッセージで奮起する人はよいと思うのですが、それによってさらに落ち込むパターンもありますので、注意が必要です。
さらにこれが長期化してくると、がんばることができていた人もエネルギー切れになり、落ち込むパターンになりかねません。

また被災地の人が大変苦労しているのを見て「自分は苦労していない」と自分を責めて落ちこんでいっている人も少なくありません。
これも「自分はもっとがんばらなくては」ということが裏目に出てしまうパターンです。

このような時期に不安定になることは当然の反応といえます。
震災直後は「何とかしなくては」とがんばれていても、時間が経つと疲れてがんばりがきかなくなってくることもあるのです。
前向きな考えになれない自分を責めても、良い結果とはなりにくいでしょう。

何事もバランスが大事です。
「こんな時こそ前向きに思わなくては」だけでは長期戦には耐えられないように思えます。
がんばれるときもあるけれど、「がんばれない」時もある自分を認めてあげましょう。
そうすることが心身の回復を早めていくものですよ。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


強迫性障害と囚われる時間

臨床心理士の鈴木です。

強迫性障害には行動療法が世界的にもスタンダードな治療法ですし、治療において第一選択肢とされていますが、強迫性障害の方で行動療法を受けている人はそれほど多くはないと思います。

その理由の一つは強迫性障害だと思わずに長い間過ごしていること。
子どもの頃から症状はあったものの、病気だとは思わずにすごしていることがあります。
まず病院を受診するまでに時間がかかるのです。

さらに病院を受診したとしても
・強迫性障害と診断されない
・薬物療法を何年も続けていても良くならない
・症状が軽減しても薬を減らすとまた元に戻る
といったパターンが少なくありません。

また行動療法を希望したとしても
・「やっても意味がない」と主治医から言われる
・そもそも行動療法をやっている臨床心理士がいない
というパターンになることも多いでしょう。

これらのことから強迫性障害の方は薬物療法と行動療法という二つの標準的な治療を受けるまで数年~10数年かかることは珍しくないといわれています。
行動療法についてはやっていない人の方が多いのではないでしょうか。
その期間、多くの時間を強迫的な考え・行動に囚われることとなるのです。

以前はあまり治らない病気といわれていましたが、現在では適切な治療を受ければ良くなっていくというデータがでています。
早めの治療を心がけていくことで、強迫性障害に囚われない時間を取り戻していきましょう。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
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