うつ病と合理的思考

臨床心理士の鈴木です。

前回も少しお話しましたが、悩みというものは合理的に考えても、解決しないことが多いものです。

それでも「もっと深く考えれば治るはずだ」「原因をつけとめれば治るはずだ」ということをしてしまいます。

特に物事をいつも合理的に考えやすい人はそうではありませんか?

お仕事などでは、合理的、論理的な思考が求められます。
問題点があれば、原因を探り、それを取り除くための対処、そうすれば将来どうなるかの見通しを立てます。
ところが悩みに対してはその思考方法が役に立つとは限りません。
実はこのような思考方法で考え続けていくと、さらに苦悩が増すことがあります。

例えば、仕事でミスをして落ち込んだとします。
そして「自分は仕事もロクにできない人間だ」とレッテルをはります。
「同僚から馬鹿にされてるんだろうなぁ」「同僚よりも自分は劣っている」と他人の目を気にしたり、他人と比較したりします。
「そういえば昔からそうだったなぁ」と過去に原因をもとめたり
「この先もずっとこうなのかなぁ」と未来を想像したりします。
そうすると、後悔、絶望感という新たな苦悩が生まれ、落ち込んでいきます。
どう考えても落ち込んでいく一方なのに、「考えれば解決するはずだ」という信念があるために、考え続けるのです。

このように、初めは「仕事でミスをした」という現在の事実から、他人との比較、過去や未来というバーチャルな世界に思考が飛んでしまうのです。
小さな出来事が頭の中でだんだん大きく変化していき、苦悩を増大させる一要因となります。

うつの人に考えてほしいのは、「考え続ける」ことなのか「解決したい」のか、どちらでしょう、ということです。
考え続ける=解決、とは限りません。
堂々巡りになっているときは、「考え続ける」という罠にはまっているものです。
罠にはまらないためには、その罠から気付き、その罠への対処スキルが必要となります。

罠にはまりかけている方は早めのカウンセリングをお勧めします。

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