「 2009年08月 」一覧

うつ病と合理的思考

臨床心理士の鈴木です。

前回も少しお話しましたが、悩みというものは合理的に考えても、解決しないことが多いものです。

それでも「もっと深く考えれば治るはずだ」「原因をつけとめれば治るはずだ」ということをしてしまいます。

特に物事をいつも合理的に考えやすい人はそうではありませんか?

お仕事などでは、合理的、論理的な思考が求められます。
問題点があれば、原因を探り、それを取り除くための対処、そうすれば将来どうなるかの見通しを立てます。
ところが悩みに対してはその思考方法が役に立つとは限りません。
実はこのような思考方法で考え続けていくと、さらに苦悩が増すことがあります。

例えば、仕事でミスをして落ち込んだとします。
そして「自分は仕事もロクにできない人間だ」とレッテルをはります。
「同僚から馬鹿にされてるんだろうなぁ」「同僚よりも自分は劣っている」と他人の目を気にしたり、他人と比較したりします。
「そういえば昔からそうだったなぁ」と過去に原因をもとめたり
「この先もずっとこうなのかなぁ」と未来を想像したりします。
そうすると、後悔、絶望感という新たな苦悩が生まれ、落ち込んでいきます。
どう考えても落ち込んでいく一方なのに、「考えれば解決するはずだ」という信念があるために、考え続けるのです。

このように、初めは「仕事でミスをした」という現在の事実から、他人との比較、過去や未来というバーチャルな世界に思考が飛んでしまうのです。
小さな出来事が頭の中でだんだん大きく変化していき、苦悩を増大させる一要因となります。

うつの人に考えてほしいのは、「考え続ける」ことなのか「解決したい」のか、どちらでしょう、ということです。
考え続ける=解決、とは限りません。
堂々巡りになっているときは、「考え続ける」という罠にはまっているものです。
罠にはまらないためには、その罠から気付き、その罠への対処スキルが必要となります。

罠にはまりかけている方は早めのカウンセリングをお勧めします。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


うつと瞑想とカウンセリング

臨床心理士の鈴木です。

今日は都内で学会のワークショップに参加してきました。
普通学会はスーツ姿の人が多いのですが、今日参加した学会は、スーツを着ているとかなり目立つという、非常にラフな学会なのです。
私は臆病なので少しだけかしこまった格好してしまいますが。

講師はとある大学の先生でした。
大学の先生は話の中にムダに英語を挟むことが多い印象ですが、今回はそのような先生ではないので好印象。
ただ、英語の部分になると急に発音が良くなるのはどうかなと・・・。

認知行動療法関係のワークショップに参加しましたが、何度も再発を繰り返すうつ病に対する瞑想技法などが中心でした。
「認知行動療法に瞑想?」と意外に思われるかもしれません。
瞑想というと怪しいイメージがありますからねぇ・・・。
実は新しい(第3世代なんていわれてますが)認知行動療法では、結構使われているんです。
そして瞑想を盛り込んでいる認知行動療法はたくさんの効果に対する実証性があります。

ですからヨガや座禅などやったことがある人なんかは、新しい認知行動療法に親和性があると感じています。

私のカウンセリングでも新しい認知行動療法もしており、ヨガをやったことがある人は感覚的に飲み込みが早いような気がします。

合理的にあれこれ考えても、うつや不安が強くなると「そんな風には考えられない」となります。
そんな時に役立つ方法です。
悩んだ時の対処法のレパートリーが増えると思います。

もちろん瞑想をやるのが新しい認知行動療法というわけではありません。
実際の治療では瞑想の要素を利用することもある、使えるところは使いましょう、といったところでしょうか。

ですから瞑想嫌いの人も実施可能ですのでご心配なく。

ちなみに私は瞑想のようなものをやるとついつい寝てしまいます・・・。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
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