パニック障害と薬と気そらし

臨床心理士の鈴木です。

パニック障害の方が陥りやすいパターン。

電車に乗る前に抗不安薬を飲んだり、音楽を聴きながら電車の中ですごしていたりする場合があります。

全く電車に乗れなかった方が、最初のステップとしてやるのは良い場合もあります。
そうしているうちに、自然に色々とできるようになり、治ることもあります。

しかし、そうしているうちに
「薬がないと不安で外出できない」
「音楽をきいたり、気をそらすことをしないと電車に乗れない」
となると、問題になります。

結局、短期的な対処方法を繰り返しているにすぎない場合です。
「薬を飲んで以前よりは良くなったけれど、何年間もパニック発作に悩み続けている」
となるのです。
例え一度発作がなくなったなぁと感じても、しばらくして発作が起こると「治っていない」と考え、落ち込みます。
その繰り返しになってませんか?

実は不安「場面」に挑戦するだけでは、良くならないこともあるのです。
「この体の感覚は発作では?」と、不安なのは状況だけでなく、パニック発作が起こりそうなときの身体的感覚だったりします。
発作の感覚が怖いから薬を飲み、発作の感覚にいつまでも慣れず発作を恐れ続ける。
そうするとちょっとした体の変化にも敏感になり、薬や対処方法を考え・・・と、なかなか治らないとなります。

ですから、場合によって頓服や呼吸法などのリラクゼーション、音楽を聞いたり、水を飲んだり、ガムを食べる、人と話し続けるといったことは、症状を維持している要因にもなるのです。

医師やカウンセラーに「少しずつ練習していきましょう」と言われて実践しても良くならない、といったことを相談されることが多々あります。
何を不安に思っているかをきちんと見極めていかなければ、症状は持続するのです。

長い間薬を飲んだり、気をそらすことに必死になっている方、思い当たりませんか?
できるだけパニック障害に効果が認められている認知行動療法専門のカウンセラーに相談することをお勧めします。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


摂食障害と本

臨床心理士の鈴木です。

この間の日曜日は朝から夕方まで対人関係療法の勉強会が都内でありました。
対人関係療法は、認知行動療法とともに、うつ病や過食症に効果的であるというデータが出ているカウンセリングの方法です。

約20人程度のこじんまりとした、事例検討会。

何回か行っていると、同じような面子がチラホラ。

この勉強会のために、関西や大阪の方からも、わざわざきています。

それもそのはず。

対人関係療法の事例検討会は、ほとんどやっているところがありません。
日本ではまだまだ新しい心理療法です。

中身も濃い。
変な勉強会に行くよりもずっと役に立ちます。

対人関係療法の中に行動療法を取り入れているものなど、そんなものがあったのかというものまでありました。

摂食障害やうつ病で悩んでいる方は、認知行動療法や対人関係療法を受けてみることをお勧めしています。
摂食障害の場合は、全く根拠のない理屈が書いてある本なども多々あります。
このため必要に応じてですがカウンセリングの中でお勧めの書籍なども紹介しています。
本を読んでポイントとつかむだけで、症状が改善していく場合もありますよ。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
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他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


カリスマカウンセラーについて

臨床心理士の鈴木です。

ちょっと本屋さんで心理学コーナーをのぞいたところ、本の著者で知っている名前が。
よくよくみると「カリスマカウンセラー」なんて書いてある。
カリスマ・・・本人を知っていると、笑ってしまう。
その人が実力ないとか、悪い人だとかでなくて、その人が「カリスマ」かと思うと。
本人がつけたのかどうなのかはわかりませんが、どう思ってるんだろう。
きっと周囲からもつっこまれているに違いないでしょう。
出版業界も大変なんですねぇ。

当然のことかもしれませんが、「カリスマ」「ベテラン」などとりあえず本を読む人に信用をとりつけようと必死なんでしょう。
よく飲食店や美容室の宣伝で「有名人もお忍びでやってくる」といったのと同じですよね。

よくわからないような心理系の資格を名乗っていたり、「~の第一人者」と称しているわりにはなんの活動もしていない人だったり。
書いてあるのが良いものであればそれで良いのですが・・・。
一般の方でこのような本を見て、根拠のないことを信じ込み、悪循環になっていく人も少なくないようです。
一番多いのは「病気になったのは、幼少時の両親からの愛情不足が原因」といって親を責め、何の解決もしないパターン。
これは一部の臨床心理士でも同じですけどね・・・。

たまに「またか・・・」と思って本をみてみると、中身が濃く、最新の治療法に基づいているものとかもあって、人やタイトルとかでは決められないこともありますが。

でも知っている人が「カリスマ」となると・・・やはり笑えます。

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情報とカウンセリング

臨床心理士の鈴木です。

パニック障害や社会不安障害、強迫性障害の方からよく聞くことで、病気関係の情報を得ないようにしているといったことがあります。

それぞれの病気のことを調べ時にいろんな症状が書いていて、その時は自分になかった症状をみると意識するようになり、本でみた症状が出現してしまうから、という理由が大半です。

治療においてはそのような情報が耳に入ってきても大丈夫だと思えるようにしていくのですが、病気に対して間違った情報を得てしまうよりは、知らない方が良いのかなと感じることもあります。

いずれにしても、患者さんにとって五感から入ってくる様々な刺激に敏感にならざるを得ないであろう状況は、相当しんどいことなんだと思います。
「何も感じないようになりたい」と訴える方も少なくありません。

このようなしんどいことも早めに「適切」な治療を受けることによって改善していきます。
治療について様々な情報が流れていますが、実際のところ治療的根拠のある方法はそれほど多くはありません。
そこまでつらいと思う前に、早めに認知行動療法のような治療的根拠のカウンセリングや薬物療法を受けることをお勧めいたします。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
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他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


携帯電話と講師とカウンセリング

臨床心理士の鈴木です。

今回は近況報告。

先日ついに買いました。
携帯電話。
もちろん機種変更ですが。
4年半ぶりです。
まぁ、新しくなってもほとんどの機能は使いません。
しかも、メールも電話も全くしないため、いまだにどのように使うかもあまりわかりません。
せっかく私としては初の赤外線機能がある携帯電話を買ったので、いつかやってみたい。
今更、友人などに赤外線・・・ってわけにいかないので、連絡先をしらない人を探してみようと思ってます。
しかし、どうやって連絡先を知らない人を探そうか・・・。

それとまた勉強会の講師の依頼がありました。
さいたま市内のある専門職がみんな集まる研修会のようです。
今回も2時間前後話をすれば良いのだろう・・・と安易な気持ちで引き受けましたが、引き受けた次の日・・・
依頼者「鈴木さん、大事なこと忘れてたけど、9時から16時半までだから」
私「他に誰か講師するんですか?」
依頼者「もちろん鈴木さん一人で」
結構長い時間・・・。
どうしようかな・・・と考えました。
さらに、ここ2年間は著名な先生を呼んでの研修会だったようです。
しかし「長い時間だし、不安だからやらない」なんて私が言うと、きっと私のカウンセリングを受けている患者さんから怒らそうですね・・・。
というわけで、引き受けました。
私は現場の臨床心理士なので、大学の先生などの研修会ではあまりしないような、現場の感覚を活かした研修会ができるようがんばってみようかと思います。
今回は余計な話はしないように気をつけよう。

ちなみに患者さんから「研修会いきたいんですけど、参加できますか?」と聞かれることがありますが、よくありがちな一般の方用に高いお金をとって「カウンセリング講座」をするということはしていません。
一般の方対象の研修会をすることは少ない方です。
1年半くらい前にさいたま市の保健所で精神障害者の家族教室をした程度です。
私の場合はだいたい専門職からの依頼での専門家用の研修会が多いのです。
もし、一般の方用に何かすることがあればお知らせしますね。

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うつと不安と家族とカウンセリング

臨床心理士の鈴木です。

NHKでやっていた「うつ」についてのドラマが3回で終わっちゃいました・・・。

もっと続くのかと思っていたので少し残念でした。

2回目はウトウトしてしまいほとんど見られず。
結局初回と最終回のみになってしまいました。

ドラマの精神科医はドラマとはいえど、現場でやっていることに対して誤解を与えかねない言動が多いような気がしましたが、「言葉」が人を悩ませる?(違っていたらすみません)という旨のことを言っていたのは良かったと思います。

「自分は価値のない人間だ」と「考える」のは仕方のないことです。
その考えを無理やりプラスに考えたり、反論したりしたところでドツボにはまります。
ドラマでいっていたように、考えるのは仕方のないこととして、「言葉を流す」という方が良いこともあるのです。

もちろんそうすると「こんな考えを流すことなんかできない」と「考えて」しまう人も多いでしょう。

その変のことをカウンセリングではもうちょっと詳しくやっています。

それと、このドラマは「うつ」の本人だけでなく、その家族にも焦点を当てていることがよかったのでしょう。
うつ病だけでなく、パニックや社会不安障害、強迫性障害を患っているご家族の方もどうしてよいかわからない、ということをよく聞きます。

患者さんだけでなく、ご家族の方も一緒に対応方法を学んでいくと、治っていきやすいような気がします。

ご家族の方も悩んだら遠慮せずにカウンセリングへお越しください。
何らかの方向性を見出していけるようアドバイスをいたします。

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うつとドラマとカウンセリング

臨床心理士の鈴木です。

NHKでやってますね。

「ウツ」についてのドラマ。

マンガで出たものがドラマになっているようです。

「ウツ」についてよく説明されているようなことが、ドラマでも取り上げられています。

もちろん気になることも少しあります。
精神科医役のお医者さんが「ウツ」は早くて3か月、遅い人で2年位で治る、といったこと。
実際は薬だけ飲んでいても2年以上かかる人なんてたくさんいます。

「周囲が気晴らしに誘ってはいけない」というのも良くいわれいることです。
ドラマでは気晴らしに誘って行動した結果悪化しているといった教科書な事例。
気をつけていただきたいのが、「気晴らしに誘う」ことが「ウツ」にとって必ずしも悪化条件とは限らないということです。
気晴らしに誘ってはいけない時に誘うからいけない、ということだと思って下さい。

それに気をつけないと「薬飲んで何か月も十分に休んだけれどもよくならない」といったことに、なりかねません。

それでも、ウツについて全く知識のない方にとっては役にたつでしょう。
あくまでも一つの「事例」とみることが一番役に立つと思います。
あまりこのようなドラマはみたことがないので、とりあえず次回もみてみようかと。

あと素人目からすると藤原紀香と原田泰造というメインの組み合わせは何となく面白い組み合わせなような気がします。

ドラマで出てきたところで気になるところや、補足、一般の方が誤解してしまいそうなポイントがあれば、勝手にこのブログで指摘していきます。

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不安に挑戦しても治りにくい社会不安障害

臨床心理士の鈴木です。

人前で話す、書く、食べるなどの場面で過度の緊張、吐き気などの症状が問題となる社会不安障害について。

私もよく人前で話すと緊張します。
大勢の前ではなおさらです。
自分では「大勢の前で話すのは苦手」「人が大勢いる飲み会は苦手」と思っています。
私のカウンセリングを受けている患者さんや、私の周囲の人には「それはない」といつも否定されますが・・・。
苦手といっておきながらベラベラ余計なことばかりしゃべっているせいかもしれません。

さて、社会不安障害の患者さんからよく聞くのが、自分で克服しようとして、何度も不安な場面に挑戦するけれども、なかなか治らなかったという経験があるということ。

この場合、不安場面において
・ずっと人と目を合わさないようにしている
・一言もしゃべらずじっとしている
・不安を避けるために、作業を早く終わらせようとする
・不安なことを忘れようとばかりする
・リラックスしなければ大変なことになるのでは、と考えている
などの行動をしている印象があります。

これらの行動は不安場面に直面しても、その場しのぎの短期的な効果しか生み出していないのです。
その結果、十分にその場に慣れることができず不安が続きます。
特にリラクゼーションなどの方法を身につけている方は注意です。
リラクゼーション自体は悪いわけではありませんが、「十分にリラックスしなければいけない」と考えすぎると逆効果になる場合もあります。

つまり、不安を下げるための対処ばかり考えるということは、不安を呼び寄せることにもなり得るのです。

このような場合はなかなか良くなりません。
せっかく勇気をふりしぼって不安な場面に挑戦しても、失敗ばかり繰り返すと逆効果です。

不安場面に挑戦してもうまくいかないという方、思い当たりませんか?

余談ですが、私が「人前で話すのは苦手である」と考えていたとしても、「人前で話す」ことはできます。
プラス思考になったら、自信がついたら人とうまく話せることができるだろう、と考えている人もなかなか良くなりにくい印象ですがどうでしょうか?
考えていることが行動の原因であるという誤解から抜け出すテクニックを身につけることも、回復するコツかもしれませんよ。

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うつ病と職場復帰の勉強会講師をやってきました

臨床心理士の鈴木です。

今日は依頼があり、他の精神科クリニック職員さん対象の、うつ病に対する認知行動療法勉強会の講師をしてきました。

ここ半年くらいは聞いている方が主であったので、話す方は少し緊張してしまいました。
いつもやってしまうのですが、伝えようと思っていた大事なことを2~3個は忘れてしまいます。
これも慣れなのでしょうか・・・。
余計なことはそれ以上に言っています。
一応これでも普段は無口だと自分では思っているんですけどね。
毎回のことながら反省。

うまく伝わったかなぁと勉強会の講師をするたびに気になる。

学会発表もそうですが、勉強会の講師をすると自分のやっていることの振り返りになるので、講師をしている私自身も勉強になりました。
また、自分が当たり前だと思っていることが、他の人には当り前では無かったり。
人と比べることで自分の特徴がわかってきます。

今日は主にうつ病から職場復帰する患者さんに対する勉強会でした。
効果があるという理屈を勉強することは専門家として当然だと私は思いますが、それ以上にどうしたら患者さんの役に立てるかという発想をもってくれたら、今回の勉強会は成功なのです・・・うまく伝わったかなぁ。
小規模の勉強会だったけれども、こういう地道な活動が結果的に患者さんに還元していければと思っています。

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家族とコミュニケーションとカウンセリング

臨床心理士の鈴木です。

私のカウンセリングでは利用者の7~8割が女性です。
場合にもよりますが、ご家族も一度くらいはカウンセリングに来ることを勧めているため、ご夫婦、親子でこられる方も多数いらっしゃいます。

症状は様々ですが、夫婦、親子でよくはまりやすいパターンがあります。

悩んでいる本人に対して周囲が
「もっとこんな風に考えてみたら」
「それは考えすぎだよ」
「それくらいの悩み誰だってあるよ」
「もっとプラス思考にしてみたら」

いわゆる「考え方を変えてみたらどうか」という「アドバイス」。
これは悩んでいるのは女性で、夫など男性から言われるパターンが多い印象です。

このような場合は
「そんな風に考えるのはわかっているけど・・・」
という会話になり、
「言ってもわかってくれない」
と考えるようになり、
「誰にも言えない」
という悪循環になります。

女性側の本音は「ただ聞いてほしい」
男性側の本音は「どう接すればいいかわからない」

悩んでいるのが男性で、周囲が妻や母親など女性の場合は、周囲があまり刺激しないほうが良いことはわかっているものの、「~療法」「有名な~先生」など治療法を一生懸命探して、提案することが多い印象です。
このパターンは、男性が治療に乗り気でなかったり、効果に疑いをもっていたりします。
治療に乗り気でない本人をみると、周囲がイライラします。
それを本人が察して
「わかってもらえない」
と考えるようになります。
そうすると悪循環となります。

男性側の本音「何かいい方法があれば良いけど、もっとほっといてほしい」
女性側の本音「何でもよいから早く治療してよくなってほしい」

この二つのパターンは最もよくある(私の印象でしかありませんが)例ですが、とくかくコミュニケーションのズレ、相手への期待のズレがあります。
どちらが悪いというわけではありません。
悩んでいる本人も一生懸命良くなろうとしてますし、周囲も良かれと思ってやっています。
ただ、双方ともどのようにしてズレや症状の改善をしていって良いかわからず、悪循環にはまっているのです。

これらのズレが改善するとグッと良い方向に向かいます。
もちろんそれだけで症状が良くなるとは限りませんが、少なくとも悩んでいる本人も周囲も今までよりは楽になるとは思います。

このため私のカウンセリングでは、一度で良いのでご家族も一緒にカウンセリングに来てもらい、ズレがあれば改善できるようアドバイスしています。
どんなカウンセリングをしているか、ご家族もわかると安心ということもありますが。
ご家族が来談できない場合でも、できるだけ周囲に自分の状況をわかってもらえるよう、お手伝いしますよ。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
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