「 2009年11月 」一覧

社会不安障害と社会生活への影響

臨床心理士の鈴木です。

社会不安障害に関する外国でのあるデータ。

社会不安障害の人はそうでない人に比べて
・度重なる欠勤、遅刻
・度重なる解雇
・収入が低い傾向
・学歴が短くなる
というデータがあるそうです。

結構前のデータですし日本でこれが当てはまるかはわかりませんが、
社会不安障害があると学業や就労に大きな影響があることは確かだと思います。

「人からどう思われるか不安」「変だとおもわれているのでは」と悩んでいると
学校や職場にいったら苦痛になり、行かなくなるでしょう。
そうすれば、学校も退学ということになるかもしれません。
働いている人は欠勤が多くなるし休職を繰り返して解雇もされるかもしれません。
また症状があることによって働けないという方もいるかもしれません。
その結果収入も低くなるということもあるかもしれません。

さらにうつ病との関連も指摘されています。
確かにそれだけ悩んでいればうつにもなってしまってもおかしくありません。

その他にも別居率や離婚率も高くなるといったデータもあるらしいです。

どこまで正確なデータかはわかりませんが、いずれにしても社会生活に大きな影響を与えることは確かだと思います。
気の持ちようではどうにもなりません。
自己啓発本などを読み「自信をもとう」「プラスに考えよう」と自分に言い聞かせてもうまくいかないことも多いはずです。

治療法はありますので、精神科や認知行動療法を実施している機関に早めに行ってみましょう。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


パニック障害に対する薬物療法の落とし穴

臨床心理士の鈴木です。

パニック障害の方で不安になったらお薬を飲み続け、そのうち治ると思い、何年も経っている方はいませんか?

パニック障害にお薬を使うことはもちろん勧められています。
カウンセリング(認知行動療法)単独でも効果がありますが、併用も有効です。
有効であるというデータは豊富にありますし、私自身カウンセリングをしていて何人も良くなってきている人をみています。

ただ、お薬には困った作用もあります。

仮にお薬を飲みながら良くなった場合、その要因を薬のせいにしてしまうことです。
特に不安になった時に服用する短時間に効果が出やすい抗不安薬を服用している場合。
認知行動療法で次第によくなっても「薬のおかげでよくなった。薬がなければ不安だ」となってしまい、薬を手放せなくなってしまうことがあるのです。
そうなるとパニック発作への不安だけでなく「薬をやめる不安」という課題を最終的にこなさなくてはいけません。
つまりお薬を「不安を減らす道具」というものとして使い続けると、「薬をやめる不安」という問題が起こる可能性があるのです。

このため、これからパニック障害の治療を始める方は最初から認知行動療法も含めて考えていってほしいところです。
また認知行動療法ではお薬服用する上での心構えなどもお話しています。
薬を服用するにしろ、お薬を最終的にやめるには認知行動療法などパニック発作への対処法を知っておいた方が良いと思います。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


うつ病で休職中の方の注意点

臨床心理士の鈴木です。

うつ病で休職中の人は企業側から「ゆっくり休んでうつが完全に治ってから出社してきなさい」と言われていることが多いようです。
しかし本当にゆっくり長期間休んでだけいたら、体力が落ちてきます。
また会社の様子も変わり元にも戻りにくくなり、結局退職・・・ということになりかねません。

ということで、うつで休職中の方が気をつけてほしい点について。

睡眠対策について睡眠薬以外の方法を知っていますか?
眠れないのに寝床に数時間もいる、なんてことしてませんか?
これには睡眠薬だけでなく、別な対応をとると改善する可能性があります。

よくあるのが復職に向けて「図書館に一日いきなさい」と医師からの指示されたというお話。
集中力を養うとか、日常生活を整えるとかそういう意味なんでしょうが・・・。
普通に考えて用もないのに図書館に一日いてもつまらないですよね・・・。
図書館好き、読書好きの方にはいいかもしれませんけど。
そうでない人には、他のすごし方を考えてたほうが良いですよ。

日曜日などの休日は平日の疲れをとるために、昼過ぎまで寝てその後も動かないですごしていませんか?
こんな過ごし方だけでは夜に眠れなくなったり、落ち込む時間が増えかねません。
だいたい休日の翌日がつらくなります。
復職後は休日の過ごし方も非常に重要ですので覚えておく必要性があります。

「将来のことを考えると不安になって、だるくなって動けない」という方も多いでしょう。
そんな時にどのような考え方をすれば良いか、そして動きやすいかについても知っておくと便利です。

これらの注意点について医師との数分の診察だけで詳細を話し合うことはほとんど無理だと思います。
人によって適切な過ごし方は異なりますので、その人に合った休職中の過ごし方を考えていかなくてはいけません。
認知行動療法などのカウンセリングでよく対処方法をお話することが多いのですが、やってもらえると結構良くなっていきます。
お薬以外に対処方法を知っておくことは再発防止だけではなく、後々お薬をやめる時にも役に立ちますよ。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


うつ病が良くならない時は・・・

臨床心理士の鈴木です。

インターネットが普及していますのでうつ病への知識は簡単に手に入ります。

「励ましてはいけない」「うつ病は3ヶ月くらい薬を飲んで休養していれば治る」といったキャンペーンのようなものが色んなところに書かれています。

うつ病の方も周囲もそれをみて「そうなんだなぁ」と思いとりあえずは実践しようとするでしょう。

もちろんそれで治ればOKです。

しかし、実際はそれだけでは治らないことが結構あります。

数ヶ月して治らないと周囲から「やっぱり病気じゃなく、怠けじゃないか」と言われるようになったりします。
そうするとさらに悪化し、家族内でのコミュニケーションもうまくいかなくなるのです。

それじゃ引き続き薬飲んで休んでいれば良いかというと、それではいけません。

例えばお薬について。
副作用で起きられない、眠気が強い、不安定になっている可能性があるのに、副作用と気付かず医師に報告していないことがあります。
一般の方にはわかりにくい副作用もあるので、それも含めて何をどのように医師に伝えたらよいかカウンセリングでアドバイスすることもあります。

何度かこのブログでも書きましたが、うつに対しては休むだけでなく「動く」という手もあります。
もちろんむやみやたらと動いてはただ疲れるだけです。
どうやったら動きやすいか、どのように日常生活をしたら、今よりもよくなるかを具体的に考えることが必要です。

ご家族や周囲の対応も大切です。
「励ましてはいけない」と理屈は分かっていつつも、ついついイライラしてしまう。
どうしたらよいのだろうとご家族が悩むことも少なくありません。
一般的な対応をしてもうまくいかないことや、納得いかないことが多いものです。

あと本当に単純な「ウツ」かどうか。
不安障害なども混在していることもあります。
そうすると不安障害への対応方法を学ぶ必要性があります。

これらのことは、具体的にどうしたらよいかを身につけたりするには、書籍やインターネットの情報では明らかに不足で、実際にカウンセリングなどを受けて専門家に相談しないと難しい面があります。

この他にもたくさんありますが、ただ受動的態度で良くなるのを待っていて本当に良いのかどうか、うつ病が長引いている方、再発を繰り返している方は振り返ってみましょう。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。


カウンセリングの受け時

臨床心理士の鈴木です。

今回は「カウンセリングの受け時」について。

私のカウンセリングを受けにくる8~9割が他院通院中、どこにも通院されていない方です。
クリニック付属のカウンセリングルームとしては少し変わった特徴らしいです。
多くが認知行動療法を受けるためにいらっしゃいます。

他のクリニックに通院中の方の話から、カウンセリングは必要ならば医師が勧めてくれるだろうと思っている方も多いということがわかりました。

ずっとカウンセリングを受けたかったことを医師に伝えたら「いいんじゃない」と言われ受けに来る人は良い方です。

これだけうつ病や不安障害に対して薬物療法と双璧をなしている認知行動療法であっても、医師のイメージは様々。
認知行動療法が嫌いな医師もいれば、知っていても「あなたみたいな人には向かないよ」と言われることもあるようです。
「向かない」という根拠としては乏しいことがほとんどです。
つまり、治療的根拠があり、回復の可能性がある精神療法であっても、主治医の考え方(好き嫌い)次第でカウンセリングが受けられないことはよくあることなのです。

医師から「カウンセリングをやってもムダ」と言われたのにかかわらず、受けにきて回復していった方もたくさんいます。
精神科医師の間でも認知行動療法などの精神療法に精通している人は多くはありません。
これは我々臨床心理士のアピール不足という要因もあるかもしれません。
本来薬物療法をするにしてもカウンセリングは併用していくのが良いとは思うのですが・・・。
精神医療の中でさえカウンセリングの位置づけは医療機関によって異なるようです。

カウンセリングを受けたいと思った時がカウンセリングの受け時だと思います。
お気軽にご相談ください。

うつと不安のカウンセリングご希望の方は
浦和すずのきクリニックの受付、
または電話048-845-5566で「カウンセリングの予約」をして下さい。
他院通院中の方、どこにも通院されていない方も受け付けています。